まつりパンライフ

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有栖川有栖「インド倶楽部の謎」の感想

インド倶楽部の謎

 

「インド倶楽部の謎」のあらすじ

インドのアガスティアの葉には、人の前世・死ぬ日などの運命が書き残されているという。

アガスティアの葉のリーディングイベントが行われ、インド倶楽部のメンバー7人が参加した。

 

その後、メンバーが次々に殺される事態となり、火村英生とアリスのコンビが神戸の街を舞台に捜査をはじめる。

火村英生・国名シリーズ第9弾。

 

「インド倶楽部の謎」の登場人物

火村英生 34歳、英都大学准教授、犯罪学者。

有栖川有栖 34歳、ミステリ作家、物語の話し手。

 

間原郷太 48歳、実業家。

間原洋子 49歳、妻。

間原花蓮 17歳、娘。

 

加々山郁雄 50歳、間原の友人でビジネスパートナー・プロモーター。

井深リン ヨガのインストラクター、長身。一番年下。

坊津理帆子 39歳、私立探偵。

佐分利栄吾 33歳、臨床心理士、甘いマスク。

弦田真象 35歳、ミュージシャン。自称「野生の修行僧」。

 

ラジーブ チェンナイ在住のナーディー・リーダー。

出戸守 30代半ば、コーディネイター。

 

インド倶楽部の謎の感想

インド倶楽部の謎で「国名シリーズ」も、もう9弾!(しかも13年ぶり)

何度も読み返しているせいか、個人的には全くそんな感じはしませんが、ファンは待ち遠しかったでしょうね。

 

国名シリーズは短編のイメージがあったのですが、この作品は長編でした。

長編だから、というわけではなく、頭の中を整理するべく今回もメモを取りながら読み進めていくことに。

 

ラジーブが、インドに伝わるアガスティアの葉をもとに、生い立ちを言い当て、前世を伝える第一章。

 

予言や、輪廻転生…胡散臭さもある中で楽しく読めたということは、私は自分が思っているより占いが好きなのかも・笑。

占いを全面的に信じているわけではないのですが、好きなトピックであるということは否定できませんね。

 

殺人事件が発生し、インド倶楽部との関係性を調べていく中で捜査のために奈良へ向かう野上(普段は不愛想な巡査部長)の活躍、そして火村たちに対する秘めたる思いが描かれているのも良かったです。

 

徐々に浮き彫りになる間原夫妻の過去の秘密、その伏線も前半にしっかり張られていたのだと再読して気付きました。

(他の登場人物の特徴も、事件の伏線に。)

 

犯人がわかり、動機は?となったところで「前世」を絡ませてくるのですが、これは好みが分かれそうだな、と。

私は理解するのに時間がかかり(頭がついていきませんでした)、最終章は何度も読み返してようやく着地・笑。皆さんはどうでしたか?

 

いずれにしても、火村とアリスのコンビ、最強です。好きです。面白いです。

 

最後に

この本は、ブログを始める前(2018年の秋の発売直後)に読んでいた作品なのですが、先日、神戸に訪れたときに「有栖川さんの作品で、神戸を舞台にした本が棚にあったな」と思い出して再読しました。

 

物語は、北野の異人館街の描写から始まります。

旅行中、特に印象深かった北野異人館街の街並み。

あの一角に「インド亭」が建っていても違和感なく溶け込んでいるだろうな、と思いました。

 

作中で死体が発見される場所が神戸港だったりしたので、あのあたりの景色を思い出しました。

www.matsuripan.com

 

夜景がきれい!と紹介した記事です。

 

作中に登場するヨガスタジオが南京町の近くだったり、探偵事務所が元町だったり、要所要所に出てくる神戸の街。

www.matsuripan.com

 

南京町で食べ歩きした記事です。

アリスと火村が南京町で食事をする場面もありましたね。

 

今の季節の神戸も新緑の頃でいいでしょうね。

この本を読んだ時点では、まさか本当に神戸の街を訪れることになるとは思っていなかったため、再読してもまた違った読み方が楽しめました。

 

作者の有栖川有栖さんは大阪の出身で、京都にある大学を卒業しているため、おそらく普段は関西弁を話されるのでしょうね。

 

アリスと火村英生の関西弁にもだいぶ慣れたつもりでいましたが、神戸を旅行し、実際に耳にした関西弁は迫力がありました・笑。

 

関東在住、東北出身の私には関西に親戚や友達もいないため、TVやラジオでしか関西弁を耳にする機会がないのです。

神戸を旅行中に耳に飛び込んできた、店員さんや地元の方の関西弁が、妙に新鮮でした。

 

毎回楽しみなのが「あとがき」でして、今回のあとがきは長めでした。

作中に登場する実在の箇所は、神戸在住の作家の助言があったりしたようだとか「うみねこ堂書林」は実在するお店だとか、裏話的な話が記されていて最後まで楽しめた一冊でした。

 

今から、次回作が楽しみです。