まつりパンライフ

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三浦しをん「ののはな通信」あらすじと感想

三浦しをん「ののはな通信」表紙

 

三浦しをん著「ののはな通信」について

私が「ののはな通信」を読もうと思ったきっかけについて、少しだけ。

三浦しをんさんは、好きな作家のひとりなので新刊が出たというのは知っていました。

 

発売当時はそのうち読もう、なんて思っていたのですが、ラジオで書店員の方が推していたのを耳にして、これはぜひとも読まなくては!と思ったのです。

 

結論から言いますと、書店員の方が推薦するだけのある、読みごたえのある素晴らしい一冊でした。

 

小説屋SARI-SARIで2012年から2015年で配信したものを加筆・修正して書籍化したものだそうです。

 

2018年5月にKADOKAWAから刊行。448ページ。

 

「ののはな通信」の本にかかっている花柄のカバーをとると、面白い仕掛け(?)があるのでそちらもぜひ確認してみて下さい。

 

本の装丁も素敵な花柄だし、細かいところまで凝ってる!と見入ってしまいました。

 

三浦しをん著「ののはな通信」裏表紙

 

三浦しをん著「ののはな通信」のあらすじ

ののはな通信のあらすじを簡単に紹介します。

 

ののはな通信は、「のの」と「はな」の手紙・メールのやりとりで構成されている本です。

 

のの(野々原茜)とはな(牧田はな)は、横浜にある女子校・聖フランチェスカに通う高校の同級生。

 

ののはクールで理知的で、はなと比べると暮らしぶりは質素。

 

はなは英語が話せる帰国子女で、父も祖父も外交官。

両親と離れて暮らしているため、お手伝いさんがいる。みどりという妹と暮らしている。

 

友達として手紙を交わしていた二人は、次第に友情以上の感情が芽生えるようになる。

 

彼女たちが聖フランチェスカで過ごした高校時代は、昭和の終わり頃。

 

手紙のやりとりは大学生のときに一旦途切れ、約20年の時を経て、2010年からはパソコンでメールをするようになる。

 

一旦はやりとりが途絶えるものの、関係性や立場を変えながら濃密な語らいが続く。

最後の日付は2011年4月。

 

三浦しをん著「ののはな通信」の感想

「ののはな通信」第一章は、女子高生同士の手紙のやりとりから始まります。

 

高校時代の友達との手紙のやりとり…

私にも経験がありますから、懐かしいな~!と。

 

ののとはなの場合、友情を超えた関係性となるため、「おやおや、この本はもしかしてそっちのお話?」と早合点してしまったのですが、それでは終わらない話でした。

 

第二章はそれぞれ別の大学に通う二人の日々、お互いの恋人の話と続き、第三章はそれから約20年後、二人が40代になってからの話へと。

 

時代の流れもあり、パソコンのメールでのやりとりが多くなるのですが、二人の熱量?というか感覚が、学生時代のままなのが微笑ましかったです。

  

正直に言いますと、初めの1/4くらいの部分はちょっと読みにくいなあと感じていました。(←手紙が長文の場合、文字の羅列が続くため。誠に勝手な言い分です)

 

この本、最後まで読めるかな?と不安になったのですが、そんな心配は無用でした。

 

話の展開に驚きます。予想もつかない方向へ。

 

個人的には、第二章から本格的に面白くなってくるなと思いました。

 

三浦しをんさん「ののはな通信」の本カバーの柄

 

第三章からは、二人が自ら選んで進んだ道…

ののはフリーランスのライター、はなは外交官の妻としてアフリカにある「ゾンダ」在住、という立場から再び交流が始まります。

 

ののと暮らしているという為五郎の正体や、ののが学生時代に一緒に暮らした悦子さんの正体にも注目です。

 

はなが暮らす国「ゾンダ」(実在しない国のようです)の描写もリアルで面白かったです。

 

この本は面白いだけではなく、考えさせられること、気付かされること、ハッとさせられること、懐かしむことができる一冊でした。

 

その人の拠り所となる何か・誰かに出会えるって素晴らしい。

 

三浦さんがこの作品の執筆を開始した当時は30代後半だったといいます。

 

高校生の頃といえば、約20年も前の話ですよね。

なのにその年頃の感性がみずみずしく描かれているのです。その点もすごいなと。作家ってやっぱりすごい!

 

三浦しをん「ののはな通信」の背表紙

 

最後に

今回も、読むきっかけを作ってくれたのはラジオでした。

三浦しをんさんの本は、去年読んだ「愛なき世界」ぶり。

 

www.matsuripan.com

 

こちらの記事でレビューなどを紹介しています。

 

女子校が舞台となっていたり、登場人物が女子校に通う設定だったり、という小説を読むたびに思うのが「女子校ってどんな感じなんだろう?」ということ。

 

共学しか経験したことのない私からすると、未知の世界なのです。

 

学生さんは今、夏休み中かと思います。

 

大人になるにつれて夏休みというよりは、お盆を意識するようになりました。祖父の命日が近いという事もあるのかもしれませんが。

 

この本を読んでいるとき、学生時代の友達の顔が浮かんできました。みんな、元気だといいな。

今の時代、さがそうと思えばさがせるとは思うのですが、何故か尻込みしてしまう自分がいるんですよね。