まつりパンライフ

家で焼いたパンと読んだ本の備忘録、愛用のキッチングッズの紹介をしています

奥田英朗「最悪」のあらすじと感想

奥田英朗著「最悪」背表紙

 

奥田英朗「最悪」の登場人物

奥田英朗著「最悪」(文庫版)は、2002年9月に講談社より発売された長編小説。

※単行本としては、1999年2月に刊行。

 

全656ページ。

巻末の解説は、池上冬樹氏。

 

ラジオ番組・東京ポッド許可局で、鹿島さんが紹介されていた本です。

鹿島さんが「奥田英朗さんの本が好き」とおっしゃっていて、私も私も!と嬉しくなりました。

 

そのときに鹿島さんが紹介していたのが、「最悪」でした。

随分昔の本で、ブックオフで買ったというような事を言っていたんです。

確かに、今から20年以上前に書かれた小説です。

 

まだ読んでいない作品だったので、さっそく購入いたしました。

あらすじと感想の前に、主な登場人物の紹介です。

 

川谷信次郎 鉄工所を営む47歳。

川谷春江 信次郎の妻。

コビー 鉄工所の従業員。タイ人。

松村 鉄工所の従業員。無口な二十歳。

山口社長 川谷の隣人。工場を営む。

太田夫妻 川谷鉄工所へ騒音の苦情を申し立てる近隣住民。

 

藤崎みどり 都市銀行勤務の22歳。

藤崎めぐみ みどりの妹。17歳。高校を辞め、家出を繰り返す。

裕子 みどりの同僚。

 

野村和也 20歳。高校を中退し、パチンコ三昧の日々。

タカオ ヤクザの知り合いをもつ、和夫と同世代の男。

楓 スナックのホステス。 

 

奥田英朗「最悪」文庫版の上部

 

奥田英朗「最悪」のあらすじ

町の小さな鉄工所を営む信次郎、銀行勤務のみどり、パチンコ三昧で窃盗を繰り返し、その日暮らしの和也。

 

3人がそれぞれ、悩みを抱えていた。

 

川谷信次郎は近隣住民からの苦情、従業員の扱い、設備投資や納期について悩み、藤崎みどりは素行不良の妹、職場でのいざこざに悩み、野村和也は窃盗でヤクザとトラブルになっていた。

 

立場も違い接点のない3人だったが、ある場所で顔をあわせ、事件に発展するーといったあらすじです。

 

奥田英朗「最悪」の感想

経営者、銀行員、チンピラ…3人の主人公たちの日常がリアルに描かれており、それぞれの悩みに、いささかどんよりしてしまいました。

 

今のところ、どれも体験したことのない職種(今後もおそらく)なのですが、タイトル通りまさに「最悪」な状況に陥る主人公たち。

 

読み始めから、さっそく気が滅入りました。

特に川谷さんは、もう気の毒としか言えなくて。

小さいながらも、工場の経営者としてコツコツやってきたのになあ、と。

 

理屈っぽい隣人に公害と非難され、取引先に見栄をはり取り返しのつかない事態になったりで、追いつめられる心のうちがなんとなくわかりました。

途方に暮れた中年男性の取り乱す姿が、目に浮かびます。

 

窮地に立たされると、川谷さんのように真面目な人でも突飛な行動をとってしまうものなのかなあ。

 

まだ20歳と若い和也。

犯罪を重ねながら生きていくしかないのか、と暗澹たる思いに。

 

後半での流れには自らも「事態は最悪だった」と。

 

奥田英朗の犯罪小説「最悪」の表紙画像・文庫版

 

後半で繰り広げられるのは、なんとも不思議な展開。

この可笑しな状況ってなに…?

 

普通に考えて、ありえないよな~。

生意気にも、奥田さんの作品っぽい!、と思ってしまいました。

 

656頁(解説を含む)の長編です。

どんな結末が待っているのだろう?と気になり、最後まで楽しむことが出来ました。

 

読み終えてみると、確かに面白かった、という感想です。

 

実のところ、読書の途中でリタイアしてしまうことも多い私。

読み切っていない本が、結構な数あるのです…。

外出自粛の今、もう一度トライしてみようと考えています。

 

奥田英朗著「最悪」裏表紙画像

 

最後に

鹿島さんのおっしゃる通り、とても面白い本でした。

ありがとう、鹿島さん。

許可局でのおすすめ本のコーナー、これからも楽しみにしています!

 

期待を胸に読み始め、打ちのめされた前半部分。

ホント最悪で、何度「タイトル通りじゃん!」と思ったかわかりません。

 

犯罪小説なのに、どこかコミカルな後半部分が良かったです◎

 

1999年に発売された本なので、単行本としては中古市場でしか見当たらなかったのが少し残念。新品が欲しいのです。

※文庫版は新品の在庫がありましたので、そちらを購入。