まつりパンライフ

家で焼いたパンと読んだ本の備忘録、愛用のキッチングッズの紹介をしています

中野京子「画家とモデル」宿命の出会いーを読んで

中野京子著「画家とモデル」の背表紙画像

中野京子「画家とモデル」について

中野京子著「画家とモデル」は2020年3月に新潮社から発売された本。

全190ページ。

 

「芸術新潮」の連載・中野京子が読み解く画家とモデル(掲載時期は2018年~2019年)をまとめたもの。

 

以前から気になっていた「画家とモデル」。

というのも、あの中瀬ゆかりさんが「面白い!」とゴリ押ししてらしたので、それじゃあちょっと読んでみましょうか、と思ったのです。

 

まあいつもながら、ラジオから入手した情報をもとに読んだ本なのですが、絵画とかよく分からないので、中瀬さんが紹介していなければ、きっと手に取らなかったでしょうね。(それはものすごくもったいないこと。)

 

でも、西洋の絵画を眺めるのは割と好きなんですよね。

なんかこう、高貴な感じがしてステキだし、柄にもなくうっとりしてしまうのです。

 

ちょっとミーハーなところがある私ですが、この本、とっても面白かったのでオススメです。

あまりにも面白かったのでさっそく母にも伝えたのですが、多分読まないだろうな。

 

中野京子著「画家とモデル」の目次

 

中野京子「画家とモデル」の感想

18編の「画家とモデル」が収録されています。

 

画家の生い立ちやモデルとなった人物の詳細が、2~3枚の絵画と共に記されている点がいいなと感じました。

 

紹介されている絵に関して言いますと、アートに疎い私はほとんど見たことがない絵でした。

もしかしたらどこかで目にしていたかもしれませんが、いずれにせよ己の無知を恥じた次第です。

 

ただひたすらに活字だけを追う読書と違い、絵画を眺めながらその背景を深く知る、という楽しみを感じ入ることが出来ます。これは新しい。

日頃使っていない脳の部分が刺激されているような気になりました。

 

画家とモデルの関係性が記されている点も、興味深いです。

 

中野京子「画家とモデル」の表紙

 

こちら、表紙の絵はアメリカの画家アンドリュー・ワイエス(1917~2009)が描いた「編んだ髪」という作品。

 

ワイエスについては最終章で紹介されているのですが、彼のモデル選びは独特でした。

これまで紹介されてきた画家たちは、富裕層や王侯貴族の肖像画を描く場合(宮廷画家)が多かったのですが、ワイエスは近隣の人々・特に肉体労働者を描くのを好んだといいます。

 

その中で印象的だったのは、子持ちの人妻であるドイツ移民・ヘルガを描いた「ヘルガ・シリーズ」についてのエピソード。

 

ヘルガ・シリーズはワイエスの妻、そしてヘルガの夫も知らないままに描かれたのだそうです。

(15年にもわたってひっそりと、240点以上も。)

 

後に、二人の関係性については「世紀の密会」などと報じられたそうですがー。

 

「画家とモデル」宿命の出会いーの中表紙

 

ゴヤとかベラスケスとかシャガールとか、名前だけは知っている画家の知られざる背景を知ることが出来てちょっと賢くなったような(?)気がしました。

 

絵画を見ただけでは分からない、隠されたメッセージや画家のおかれた状況を知ると、視点が変わります。

 

先日「ACTION」(ラジオ番組)を聴いていたら、中野京子さんがゲスト出演なさっていました。(なんてタイムリー!)

 

お話が上手いなあ、と思ったら大学で講師もなさっているそう。

ドガが描いたバレリーナの絵、サージェントが描いた男性のヌードの絵について解説していました。

当時のオペラ座のバレリーナにはパトロンがいただとか、サージェントの死後に見つかった彼の作品から推察するに、同性愛者だったのではないかという考察が出来る、だとか。

 

サージェントが描いた黒人のヌードの絵は、本作で紹介されています。

確かに迫力があって美しく、モデルの域を超えた何かを感じました。

 

最後に

「あとがき」を読んでびっくり!

著者から中瀬ゆかりさんに対する謝辞のお言葉が!!

 

中瀬さんてすごい人なんだわ、と改めて思った次第です。

MXの「5時に夢中!」は欠かさず拝聴しております。

 

ラジオでは毎度毎度、面白い本を紹介してくださってありがとうございます。

今回の本は、特に良かったです◎