まつりパンライフ

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宮部みゆき「きたきた捕物帖(とりものちょう)」のあらすじと感想

宮部みゆき著「きたきた捕物帖」の表紙画像

 

宮部みゆき「きたきた捕物帖(とりものちょう)」の登場人物

書店で「宮部みゆき・新シリーズ」の文字を見かけ、これは読まねば、と手に取った本です。タイトルからわかるように、時代小説(ミステリー)です。

 

宮部みゆき著「きたきた捕物帖(とりものちょう)」は2020年6月にPHP研究所から発売された本。

初出は「文蔵」(2018年6月号~2020年4月号)の連載です。

※加筆修正されて発売。

 

全363ページ。

 

宮部さんの時代小説が大好きな私。

だって、ハズレがないんですもの。

 

今回は新シリーズということもあって期待して読み始めましたところ、やっぱり面白い

 

4編の小説(連作)が収録されています。

あらすじと感想の前に、主な登場人物の紹介から。

 

北一 16歳の主人公。岡っ引き(千吉)の元手下。文庫売り。

千吉 深川の岡っ引き。文庫屋の親分。ふぐ中毒・46歳で急死。

松葉 千吉の妻。目が見えない。

おみつ 松葉付きの女中。

勘右衛門 深川の差配人。通称・富勘。

万作 千吉の一の子分。無口。

おたま 万作の妻。威張りや。

 

沢井蓮太郎 本所深川方同心。22歳。

青海新兵衛 猿江の欅屋敷の用人。

喜多次 湯屋の釜焚き。

 

「きたきた捕物帖」の扉イラスト

 

宮部みゆき「きたきた捕物帖」のあらすじと感想

3歳のときに迷子になった北一だが、以来、千吉親分が親代わりとなっていた。

親分は仲裁がうまく、商売の才もあり、人望もあった。しかし、ふぐの毒にあたり死んでしまう。

住み込みで文庫の行商を行う北一はさてー。

 

ふぐと福笑い

千吉の亡きあと、文庫屋を継ぐことになった万作。

北一は「富勘長屋」で暮らすことに。

 

富勘は「呪いの福笑い」の相談を持ち掛けられている、と北一に明かす。

この福笑いで遊んでしまい、祟りが起きているのだという。さてどうするー?

 

この解決法はお見事!

亡き親分のおかみさん、なかなかやりますね。

 

双六神隠し

11歳の松吉が行方不明になっている。

仲間3人で「おかしな双六」をしたせいではないかと主張する子供たち。

だが北一は、そうではないと考えていた。

 

謎が解けたとき、何とも言えない寂寥感がおそってきました。

11歳の子が背負うにはあまりにも重いなあ、と。

 

頼りなさげな北一でしたが、千吉の教えを忠実に守っているし、彼なりに頑張っています。

 

「きたきた捕物帖」の目次

 

だんまり用心棒

北一は、屋敷の下から出てきた身元不明の骸骨を掘り出すことになった。

骨と共に見つかった「天狗の根付け」を頼りに身元を割り出そうとしているうち、釜焚きの喜多次に行き着くが、知らないと言われる。

 

一方で、男女の色恋の仲裁役になった富勘。

道楽息子にお灸をすえた富勘だったが、男たちにさらわれてしまうーというのがあらすじです。

 

作中でおかみさんが言っている通り、徳は積んでおくものですね。

どこで誰に助けられるか分かりません。

 

この章に出てくる道楽息子の、くずっぷりときたら!

はぁ。溜息。

 

喜多次、君は何者なんだい?

 

冥土の花嫁

いわい屋の跡取り・万太郎が再縁することになり、祝言の引き出物には北一が文庫を用意することに。うまくいけば、独り立ちだ。

 

しかし祝言の日、「亡くなった前妻の生まれ変わり」だという女・お咲が現れた。

冥土から戻ってきたと話すお咲だが、さてーというあらすじです。

 

あまりにも出来すぎた生まれ変わりの筋書きでしたので、どんなからくりがあるのだろう?と読み進めました。

殺人もおこり、ミステリーの要素もあります。

 

謎が解けると、なーるほど!と合点がいきましたが、嫌な奴らもたくさん出てきます。まあその存在によって、引き立つ人物がいるのも確かなのですが、悪知恵が働く奴らっていうのはどうしようもありませんね。

 

北一の独り立ちの結末については、ぜひ読んで確かめて下さい。

 

宮部みゆき・時代小説「きたきた捕物帖」の裏表紙

 

まとめ

読む前、タイトルが何故に「きたきた?」と思っていたのですが途中で判明します。

 

「新シリーズ始動」ということは、次回作もあると期待していいのでしょうか?

ああ、今から楽しみ。

 

喜多次はこれからも北一を助けてくれるでしょうし、盲目のおかみさん(松葉)は何でもお見通しなのです。

 

笑ってしまうような場面やほっこりする場面も多く、魅力的な人物が続々と登場するのもいいな◎