まつりパンライフ

家で焼いたパンと読んだ本の備忘録、愛用のキッチングッズの紹介をしています

宮部みゆき「孤宿の人」のあらすじ・感想(再読)

宮部みゆき「孤宿の人」文庫版の表紙

宮部みゆき「孤宿(こしゅく)の人」の登場人物

宮部みゆき著「孤宿(こしゅく)の人」(新潮文庫版)は2009年12月に新潮社から発売された長編・時代小説。

上巻493、下巻520ページ。

 

「孤宿の人」は一度読んだことがあったのですが、再読しました。

というのも、本棚で題名を目にしたときに内容が思い出せなかったんです。

 

そこで10年ぶり(いや、もっとか?)に読んでみましたら、なんとまあ素晴らしく面白い。ラストはまさかの号泣

 

下巻からの展開が凄すぎました。ページをめくる手が止まりません。

なんで、こんな感動作の内容を忘れてしまうんだ?と自分にあきれました。

 

それではあらすじと感想の前に、主な登場人物の紹介です。

 

ほう 江戸で生まれたが、四国への旅で置き去りにされた。

舷洲 藩医・井上家の当主。

啓一郎 井上家の長男・跡継ぎ。

琴江 啓一郎の妹。

渡部一馬 町役所の同心。短気。

 

宇佐 元引き手の見習い。17歳。

嘉介 西番小屋の頭。

花吉 手下。

 

梶原十朗兵衛 物頭。

梶原美祢 十朗兵衛の娘。

保田新之介 琴江の許婚者。美祢の幼なじみ。

英心 中円寺の和尚。

重蔵 英心の弟。三幅屋(旅籠)の主人。

 

加賀守守利 幕府の勘定奉行をしていたが、罪を犯し幽閉されることに。

 

孤宿の人 上 (新潮文庫 新潮文庫) [ 宮部 みゆき ]

 

宮部みゆき「孤宿の人」のあらすじ

舞台は四国・讃岐国、丸海藩。

 

置き去りにされた9歳の「ほう」は井上家で過ごすことになったが、世話をしてくれた琴江が毒殺されるー。

 

かつて、病を封じ込めるために建てられた「涸滝の屋敷」。

その屋敷で、江戸からの罪人・加賀守守利を預かることになったのだが、それに付随して次々と事件が起こる。

 

加賀は家族と側近を殺したというから、彼が招いた災いではないかと噂が飛び交う。

ほうは、涸滝の屋敷へ下女として働くことになるーというあらすじです。

 

宮部みゆき「孤宿の人」の感想

阿呆(あほう)のほう、と言われた主人公のほうは、純粋な心根の少女です。

 

物を覚えるのが遅かったり、数を数えることが苦手だったりするのですが、丸海の人々に出会って面倒をみてもらううち、少しずつですが色々なことが出来るようになってきます。

 

ほうは江戸ではひどい扱いを受けたけれど、丸海で良い人たちに出会えたし、長閑な昔の四国のお話、くらいに思って読み進めるも、いきなり琴江が毒殺されるというショッキングな事件が起こります。

 

手をかけた者は明らかなのに、一旦うやむやに。

ほうはその事実がうまく呑み込めずにいます。私の心も、ざわつきました。

 

江戸からの流人・加賀様が藩へやってくるタイミングでも、不気味な事件がー。

 

宮部みゆき「孤宿の人(上下巻)」背表紙

 

引手の見習いをしていた宇佐はもう一人の主人公、と言ってもいいと思います。

思いやりがあって面倒見が良く、行動力もあります。

 

私は宇佐の視点から描かれている箇所が、好きでした。

 

ラストがつらかったのですが、宇佐は本望だったのかもしれません。

おかげで最後は、感極まって泣いてしまうという大失態・笑。

 

涸滝の屋敷でのほうの無垢さといったら。心が洗われるようです。

素直で働きもののほうが、健気です。

加賀様との交流は暖かい気持ちに。

 

ぜひ、読んでほしい作品です。

 

宮部みゆき著「孤宿の人」下巻の目次

 

あとがきによると、丸海藩のモデルとなったのは丸亀藩とのこと。

海の描写が印象的でした。四国の海は遠いですが、目に浮かぶようです。

 

そして解説は、あの児玉清さん。

すごい。

 

最後に

危険な暑さが続いています。

特に用事がない日は、涼しい部屋にこもって読書というのもいいですよね。

 

本を読んで泣くのが苦手なので(基本的にはハッピーエンドが好き)、「泣ける本」だとか「感動作」という帯がついた本は避けています。

再読でしたし、本作を読んで泣いたという記憶がなかったので油断していました。

 

昔、妹が当時付き合っていた人が「面白いですよ」と貸してくれたことが、この本を読むきっかけとなりました。

彼も、宮部みゆきさんのファンだったのです。

 

早く返さねばという謎の焦りから、さーっと読んで返却したため、あまり記憶に残っていなかったのかもしれません。

その頃はまだ若く、感動するには至らなかったのだと思いますが、あれから色々ありました。

私も人並みに感涙することもあるんだなあ。(驚き)