まつりパンライフ

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横山秀夫「ノースライト」のあらすじと感想

横山秀夫著「ノースライト」背表紙

 

横山秀夫「ノースライト」の登場人物

横山秀夫著「ノースライト」は2019年2月に新潮社から発売された、長編のミステリー小説。

 

全429ページ。

初出は「旅」。(掲載時期は2004~2006年)

※改稿して刊行とのこと。

 

横山秀夫さんの小説を読むのは久々。

こちらの作品を手にしたのは、ラジオ番組内(ブックソムリエ)で中瀬ゆかりさんの推薦があったからです。※去年のことになります。

 

今回、読もうと思っていた本の中から引っ張り出してきたのには理由があります。

先日、この作品がNHKでドラマ化されるとの情報をキャッチしまして、その前に読んでおきたいなと思ったのです。ドラマは多分観るでしょうから。

 

私の場合、映像を先に観てしまうと原作を読む気にはならないので、これはいかん!というわけで慌てて読みました・笑。

 

あらすじと感想をまとめます。

 

では、主な登場人物から。

 

青瀬稔 主人公。建築士。45歳。

 ゆかり 青瀬の元妻。インテリアプランナー。

 日向子 青瀬とゆかりの娘。13歳。

 

岡嶋昭彦 青瀬が勤務する事務所の所長。建築士。

石巻豊 建築士。38歳。4人の子持ち。

竹内健吾 建築士。若手。

津村マユミ 事務所の経理担当。32歳のシングルマザー。

西川隆夫 パース屋。

 

吉野陶太 青瀬に家の設計を依頼した男性。

 

能勢琢己 前の事務所の同僚。ゆかりに好意を抱いていた。

池園孝浩 J新聞の記者。

繁田満 東洋新聞の記者。

 

横山秀夫「ノースライト」表紙画像

 

横山秀夫「ノースライト」のあらすじ

一級建築士の主人公・青瀬は、「あなたが住みたい家を建ててください」と吉野陶太に依頼されて信濃追分に「Y邸」を設計。

北からの光(ノースライト)を取り込んだ木の家だ。

 

しかしY邸には誰も住んでいないらしく、吉野とも連絡が取れない。

あの一家はどうしたのか。

 

Y邸には、一脚の椅子が残されていた。

ブルーノ・タウトというドイツの建築家の椅子ではないかという岡嶋の発言を受け、青瀬は謎解きに奔走するーというあらすじです。

 

横山秀夫「ノースライト」の感想

横山秀夫さんといえば警察小説の印象が強いのですが、本作は家族の話

 

主人公の青瀬稔には前妻との間に娘がいて定期的に面会し、親子の関係性は概ね良好に見えます。

しかし青瀬はそろそろ、離婚した理由をきちんと娘に説明したいと考えているのでした。

 

一方、青瀬が勤務する「岡嶋設計事務所」所長の岡嶋。

 

彼らは大学の同期でもあるのですが、岡嶋の人格がガラリと変わったと評す青瀬。

20年以上の付き合いになるわけですが、後半で明かされる岡嶋一家のある秘密

これは切なかったです。

 

家族の概念、というか役割について考えさせられました。

 

横山秀夫「ノースライト」の本扉

 

さて、あらすじのところで書いたY邸の件ですが、何とも不可解です。

引っ越した形跡もなく、吉野さんの行方も分からず、謎の椅子が一脚だけ残されていたのですから。

タウトの足跡をたどり、確実に真実に近づいていく青瀬。

(少しずつ進んでいく展開に、やきもきしてしまうせっかちな私。)

ドイツ人であるタウトですが、わが故郷・仙台にいたこともあったのだとか。

 

吉野淘汰が青瀬に設計を依頼した目的は、意外なものでした。

二人を繋ぐ過去があったのです

 

主人公を含め、設計事務所勤務の人々が登場しますので、建築関係の専門用語が少しだけ理解できたような気になりました。

設計図を描き、模型を作って設備までも考える。

 

縁のない業界ですが、華やかですね。そして苦悩も多そうです。

 

登場人物の名前にも、意味が込められていました。

これは気付かなかった…!!

 

最後に

作中には様々な鳥が出てきます。

ヒヨドリ、セキセイインコ、ヒガラ、シジュウカラ、マヒワ、ベニマシコ、ジョウビタキ、などなど。

 

青瀬が九官鳥を飼育していた過去とも繋がるのかな、とも思いましたが、私は安住氏がラジオで度々語る、聞きなしの話を思い出してしまいました。

ツバメの鳴き声は「つちくって むしくって くちしぶーい」。だとか。

不思議ですよね。なるほど、それらしく聴こえます。

 

青瀬の乗る「シトロエンの車」。

はて、どんなだった?と検索してしまいました。

 

ノースライトのドラマは、12月に放送予定だとか。

どんな映像に仕上がっているのか、今から楽しみです。