宮部みゆき「天狗風 霊験お初捕物控〈2〉」の登場人物
宮部みゆき著「天狗風 霊験お初捕物控〈2〉」は、2001年9月に講談社文庫から発売された長編の時代小説。
※「震える岩」の続編・第2弾です。
全573ページ。
1994~1995年、新聞連載の文庫化。
随分前に発売された作品です。
というのも、ここ最近の断捨離で、開かずの段ボールから出てきたのがこちらの文庫本。
どれどれ?と読んでみたら、まあ〜面白いっ!
何故、今の今まで、読んでいなかった事に気付かなかったのだろう?
この感じだと、第1弾の「震える岩」も読んでないですね。
では、主な登場人物の紹介です。
お初 17歳の主人公。一膳飯屋・姉妹屋の看板娘。不思議な力がある。
六蔵 お初の兄。37歳。岡っ引き。
よし 六蔵の妻。姉妹屋で働く。
加吉 姉妹屋の板前。
古沢右京之介 与力の父の跡を継がず、算学の道へ進む。
古沢武左衛門 南町奉行所の与力。
根岸肥前守鎮衛 南町奉行所の奉行。通称・御前。
柏木十三郎 南町奉行所の同心。
倉田主水 同心。
文吉 下っ引き。
政吉 下駄屋のあるじ。
あき 下駄屋のひとり娘。17歳。
鉄二郎 下駄職人。
伊左次 下駄職人。
捨吉 下駄職人。少年。
源庵 医師。
松 浅井屋のお内儀。倉田主水の従姉弟。
律 八百屋・長野屋の娘。13歳。
玉 律の妹。
※まだまだ登場しますが、この辺りで。
宮部みゆき「天狗風 霊験お初捕物控〈2〉」のあらすじ
娘たちが姿を消したー。
突風が吹き、その風がおさまった後にいなくなるという。
神隠し?
お初、右京之介たちは「もののけ」の仕業ではないかと当たりを付けるが、敵は姿を変えてこちらを惑わせてくる。
宮部みゆき「天狗風 霊験お初捕物控〈2〉」の感想
10代の人物がたくさん登場するのですが、宮部みゆきさんってこれくらいの年頃の描写、とても上手いですよね。
それぞれに魅力があって、思いがあって。
主人公のお初の勝ち気な性格、好きだなあ。
清々しい。
お初は、他人には見えないものが見えたり聞こえたりします。
タイトルに「霊験」という文言が入っていますから、その手の話なのだろうとは予測できますが、想像以上に面白く、のめり込みました。
観音像に姿を変える「もの」は、なかなか手ごわい。
ミステリーなのですが、謎解きの合間に交わされる人々の交流に心温まります。
今から200年ほど前の江戸の暮らしは、こういったやり取りがなされていたのだろうと思うと、なんとなくホッとするような。
もちろん、悪党もいたのでしょうが。
時期は、桜の咲く頃の設定です。
今も昔も、人は桜を美しいと思う気持ちは変わらないのでしょうね。
手元にある文庫版の表紙には、お初と思われる少女と共に、猫の後ろ姿のイラストが描かれています。
これって、あの猫ちゃん…?
すっかり猫好きになってしまった私としては、嬉しい登場の仕方でした。
お初のような能力はないけれど、いつか猫飼いたいなあ。
最後に
以前も書きましたが、時代小説が苦手な方でも無理なく読むことが出来るのが宮部さんの作品のすごいところ。
あまり大きな声では言えませんが、私の場合、彼女の書いた時代小説しか読めません。(どうも途中で挫折してしまうのです。克服したいとは思っているのですが…。)
読み終えてしまうのが惜しいくらい、宮部さんが描くお江戸の世界に浸っていたいような感じがします。ただ、敵との戦いのシーンはハラハラ(ドキドキ)。臨場感あふれる様子です。
前作の「震える岩」も、近々読みたいと思います。