宮部みゆき「震える岩」霊験お初捕物控の登場人物
宮部みゆき著「震える岩」霊験お初捕物控は1997年9月に、講談社文庫から発売された長編の時代小説(ミステリー)。
今日紹介する「震える岩」は、先日紹介した「天狗風」の第一弾です。
順序が逆になってしまいましたが、天狗風があまりにも良かったので、第一弾の「震える岩」も読んでみようと思いました。
これは、どちらを先に読んでも大丈夫です。
私のように、続編の「天狗風」しか読んでいない方も、ぜひ読んでみて欲しいです。
前回も人物紹介をしましたが、改めて主な登場人物の紹介を。
お初 16歳の主人公。霊感を持ち、一膳飯屋「姉妹屋」で働く。
六蔵 お初の年の離れた兄。岡っ引き。
およし 六蔵の妻。お初と共に「姉妹屋」で働く。
根岸肥前守鎮衛 南町奉行。
古沢右京之介 与力の見習い。
古沢武左衛門 与力。右京之介の父。
辰三 岡っ引き。
文吉 下っ引き。
加吉 姉妹屋の板前。
源庵 医師。酒好き。
小野重明 右京之介の叔父。算学者。
吉次 ろうそく売り。
助五郎 湯屋の釜焚き。
宮部みゆき「震える岩」のあらすじ
江戸で「死人憑き」の騒ぎが起こり、その後、5つ・6つの幼い子供が立て続けに殺された。
不思議な能力を持つ主人公・お初と、与力の見習い・右京之介が調べをすすめるうちに、100年も昔の出来事とのかかわりが見えてきたー。
宮部みゆき「震える岩」の感想
いやあ、面白かったです。
お初と六蔵は、年の離れた兄と妹なのですが、本作ではお初の出生の記述がありました。なるほどなるほど。そういうことでしたか。
また、六蔵は実は三男で(!)、今の職に就いた流れなども分かり、腑に落ちた部分がありました。およしとの馴れ初めも知ることができました。
右京之介の印象も、少し違いました。
頼りない若者、というのは共通しているのですが、さらにひ弱な感じがしました。
父親との関係性が、複雑…。この件に関しては、続編との関わりも出てきます。
さて、第一章の「死人憑き」から物語が始まるわけです。
字の通り、死者に何者かが取り憑いてしまうという話です。
ろうそく売りの吉次が死亡し、その後、息を吹き返すのです。
生前変わらない様子だと言うものもあれば、異論を唱えるものも…。
ここでお初の霊感が、事件の謎を解明するきっかけになります。
本作は1802年の設定ですが、そこからさらに100年ほど遡って、話は赤穂事件へと繋がっていきます。
忠臣蔵の浅野内匠頭や吉良上野介が出てきます。
浅野氏が切腹した場所で、お初が見聞きしたものとは…!
ああ、こういう解釈もあるのかとちょっと意外な展開でした。
宮部さん、こういうのもウマい。読ませるなあ。
忠臣蔵というのは創作の部分もありますから、全てが真実ではないんですよね。
最後に
現代ミステリーもいいのですが、時代小説ミステリーも面白い。
もう11月も終わろうとしていますが、今月は「宮部みゆきワールド」を楽しんだ月だったように思います。
(まだ余韻が残っています。)
お初をはじめ、登場人物が魅力的なんですよね。
下町気質の人情味あふれる感じもいいですし。
ホロリとくる場面や、もどかしい場面ですら愛おしく感じられるような良い作品でした。
オカルト的な要素が加わっているところも、私好み◎