まつりパンライフ

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髙村薫「我らが少女A」のあらすじと感想

髙村薫「我らが少女A」の表紙

髙村薫「我らが少女A」の登場人物

髙村薫著「我らが少女A」は2019年7月に毎日新聞出版から発売された長編小説。

全539ページ。

 

初出は「毎日新聞」(2017年8月~2018年7月)。

 

以前、爆笑問題の太田光さんがラジオで「髙村薫さんの作品が面白い」旨を話していたことがありました。

彼が面白いというならば、髙村さんの作品もいつか読んでみたい!と思っていたのですが、ついに読むことが出来ました。

 

…納得です。

確かに、これは面白い。

文体も、好きな感じ。

 

「我らが少女A」の主な登場人物の紹介です。

 

小野雄太 多摩駅の係員。

合田雄一郎 警察大学校の教授。

加納祐介 東京高裁の判事。

 

上田朱美 小野雄太の同級生。

佐倉真弓 上田朱美の友達。旧姓・栂野。

佐倉亨 真弓の夫。銀行員。

栂野節子 真弓の祖母。元・美術教師。

栂野雪子 真弓の母。看護師。

栂野考一 真弓の父。市役所職員。婿。

 

野上優子 小野雄太の彼女。信用金庫勤務。

浅井隆夫 霊園の事務所勤務。元警察官。

浅井忍 隆夫の息子。小野雄太の同級生。

上田亜沙子 朱美の母。

 

髙村薫「我らが少女A」のあらすじ

2005年、野川公園で元美術教師が殺される事件が起きた。

犯人は捕まっていない。

 

ときは、2017年。

とある殺人事件の容疑者の証言から、被害者が生前に語っていた内容は野川事件に関するものではないかとの意見が浮上。

 

12年前の事件の捜査が、再び行われることにーというあらすじ。

 

髙村薫「我らが少女A」の感想

かなりの長編作品でした。

しかしながら、全く飽きることなく読了。

これだけ長いと、途中で息抜きがてら他の本を読みたくなるんじゃないかな?なんて思ったのですが、そんな心配は無用でした。

とにかく最後まで、ずっと面白い。

 

語り手が目まぐるしく変わったのも、飽きっぽい私にとっては良い作用だったのかもしれません。群像劇、というのでしょうか。主人公が誰、とは設定していない作品です。

 

驚くべきことに、先に紹介した登場人物たちの多く(ほとんど)が語り手になります。

12年前に事件の捜査に当たっていた警察官の合田、当時高校生だった小野雄太とその周辺の若者たち、そして2017年現在の彼らー。

 

皆が特殊な立場に置かれた者というわけではなく、ごくありふれた人々なのです。

繰り返される日々の中、突如「殺人」がおき、捜査の過程で登場人物たちが昔の記憶を辿っていきます。

 

髙村薫著「我らが少女A」の背表紙画像

 

SNSが普及している現代だからこそ、の流れになってくるのですが、作者の髙村さん、よくここまでの知識を身につけたなあと。

私が疎いだけかもしれませんが、知らなかったことがたくさん出てきて驚かされました。特にフェイスブックに関しては、登録したことがないのでチンプンカンプン。

 

さて。浅井忍という、ADHDの人物が登場します。

名前しか知らなかった発達障害。理解が深まりました。

小学生の頃にいた落ち着きのないあの子、もしかして発達障害だったのかな?なんてふと思い出したり。小学生の頃、ADHDなんて言葉、知りませんでした。

 

作中の登場人物から思ったのは、人は皆、時に不幸な目にあったり傷ついたり傷つけたりしながら生きてゆくんだなという事。

当たり前といえば当たり前なのですがね。

 

最後に

毎晩、寝る前にちびちび読んでいても全然進まないことに気が付きまして、後半はエイヤッと気合を入れて一気に読み進めました。

 

ちょうどいいタイミングで、家族の食事をしなくてもいい日があり、部屋にこもって朝から晩まで読書。こんなに長時間、活字を追ったのは久しぶりでした。

私も意外と集中力が続くわー!なんてうぬぼれていたのですが、実はそうではなくて、この小説が素晴らしく面白いのです。

 

遅まきながら、髙村薫さんの作品を初めて読みました。

これは読みごたえ十分。

どっぷり読書に浸ることができ、豊かな時間を過ごすことが出来ました。

 

はー。やっぱり本っていいですね。(しみじみ)

次は何を読もうかな?と検索していたら、「合田シリーズ」なるものがあるそうな。

今回も大活躍した、合田雄一郎ですか。このシリーズ、面白そう!

 

本作を読むきっかけを与えてくれた、爆笑問題の太田さんへ感謝。

宮部みゆきさんの作品も好きだそうで、ラジオのゲストに呼んだりしているんですよね。(なんとも豪華な対談!)