まつりパンライフ

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奥田英朗「ナオミとカナコ」のあらすじと感想

奥田英朗著「ナオミとカナコ」表紙

奥田英朗「ナオミとカナコ」の登場人物

奥田英朗著「ナオミとカナコ」は2014年11月に幻冬舎から発売された小説。

「ポンツーン」の連載に加筆・修正したとの記載がありました。連載時期は、2012年~2014年。

全438ページ。

 

奥田さんの著作を眺めていて見つけた「ナオミとカナコ」。

ん?たしか、そんなタイトルのドラマがあったような…と思ったら、この本が原作でした。

ドラマは何話か観ただけだったのですが、とりあえず読んでみよう、と。

 

いやー、ドキドキハラハラ感がすごかったです。

ドラマではどんな結末だったのだろう。視聴しておけば良かった。

 

では、主な登場人物の紹介です。

 

小田直美 百貨店の外商部勤務。28歳。

服部加奈子 直美の親友。大学の同級生。主婦。

服部達郎 加奈子の夫。銀行員。

 

李朱美 食料品店とカラオケ店を経営する中国人。37歳。

林竜輝 朱美の店の従業員。中国人。

 

内藤 直美の上司。課長。

斎藤 直美の顧客。

山本 達郎の同僚。

陽子 達郎の妹。

 

以下、あらすじと感想です。

 

奥田英朗「ナオミとカナコ」のあらすじ

直美は大学時代からの親友である加奈子が、夫・達郎から暴力を振るわれていることに気が付く。

加奈子は別れるつもりはないと言うが、直美は放っておけない。

そして、達郎の殺害を思いつく。

 

乗り気ではなかった加奈子だが、二人で計画を実行に移すことにー。

 

一方、直美が知り合った中国人・李朱美の店へ出入りするうち、そこで働く男性が達郎にそっくりだという事を知る。

この偶然を、アリバイ工作に利用することを思いついた直美だったがーというあらすじ。

 

奥田英朗「ナオミとカナコ」の感想

直美と加奈子、共に20代後半という設定です。

 

前半は「ナオミの章」で、語り手が直美。

彼女の職場は、老舗百貨店の外商部。望まぬ職場での勤務です。

外商部が作中に出てくる作品は何度か読んだことがありますが、未知の世界だけにグイっと引き込まれます。

 

家に訪問してあれやこれやと注文してもらうわけなので、関係が密になるのは自然な流れなのでしょうけど、しかしねえ。

プライベートな「お供」から売り上げにつなげていくようです。

 

学生時代からの親友を気にかけ、たびたび訪問するうちに不自然な痣を見つけてDVに気付いた直美。

加奈子を助けようとする気持ちは酌みますが、憎い相手を「排除」するとは思い切りました。殺害ではなく「排除」とし、クリアランスプランと命名。

 

計画→実行の過程があまりにもスムーズであっけないため、こんなに簡単にいくものなのね…!

なんて油断していたら、その先に波乱が待ち受けていました。(そりゃそうだ。)

 

奥田英朗「ナオミとカナコ」単行本・本扉画像

 

後半の「カナコの章」がドキドキ。

 

達郎の失踪を知り、不審な点が多すぎると気付く者が次々とあらわれます。

家族や、同僚たちです。妹の陽子に至っては、探偵まで雇ってしまいます。

 

彼らは加奈子たちの周辺を調べまわり、2人は窮地に立たされることに。

しかし、諦めずに逃げ切ろうとする2人ー。

 

この辺りの心理描写がとても巧く、読者である自分も責められているような、逃げ切らなくてはという状態に陥ります。

 

加奈子の揺れ動く気持ちが伝わってきて、こちらも落ち着かず、最後まで一気に読んでしまいました。

ラストシーン、賛否が分かれそうですが、個人的な感想としては好きだな◎

 

まとめ

ドラマでは、ナオミとカナコは広末涼子さんと内田有紀さんが演じられていました。

何話かしか視聴していない私でしたが、印象に残っているのは中国人を演じた高畑淳子さん。

 

原作とは多少異なる設定になっていますが、高畑さんの演技、ハマっていました。

外商を利用する方々、独特な方が多そうです。

要求が行き過ぎていて、おもしろい。

 

緊張感が続くサスペンスが好きな方には、たまらない作品だと思います。