まつりパンライフ

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岸本佐知子「死ぬまでに行きたい海」を読んで◎エッセイ集

岸本佐知子著「死ぬまでに行きたい海」の背表紙

岸本佐知子「死ぬまでに行きたい海」について(エッセイ集)

岸本佐知子著「死ぬまでに行きたい海」は、2020年12月にスイッチ・パブリッシングから発売されたエッセイ集

初出は雑誌「MONKEY」。掲載時期は、2013年~2020年。

 

22本のエッセイが収録。

岸本さんのエッセイって、じわじわくる可笑しみが魅力かなと思っていましたが、本作はちょっとおもむきが異なっていました。

 

この本の発売時期に、いくつかのラジオ番組に出演なさっていました。

岸本さん、話がお上手。しかも面白い。

 

本作は紀行文といって良いと思うのですが、やはり視点がユニーク。

岸本さんの記憶の中の風景、のはずなのになぜか自分自身の記憶も蘇ってきてしまうという不思議な現象に見舞われました。

 

エッセイストでもあり、翻訳家でもある岸本さん。

どうも苦手意識のある翻訳本ですが、もしかしたら彼女が訳した著作ならば読めるかもしれない、と思う今日この頃。

 

岸本佐知子「死ぬまでに行きたい海」を読んで

出不精であることを自認する岸本さんが、出かけて行った先でのあれやこれやを綴ったエッセイなわけですが。

「高性能ではない」スマホで撮影したという写真も、ところどころで見られます。

 

表紙の写真に使われている、不思議な猫ちゃん。

読む前からの疑問「これは正体はなんだろう?」の謎が解けました◎

↓これ。

 

岸本佐知子「死ぬまでに行きたい海」の表紙画像

 

「富士山」の章はわかる!と嬉しくなりました。

岸本さん独特の思い入れや考察・分析がとても鋭く、それでいて愉快。

何度も読んでも飽きない章。

 

実家を出て最初に暮らした平塚の地からは、富士山が見えました。

遠くにそびえる富士山を見て、手を合わせてしまいそうなほど神聖な気持ちになったものです。

用もないのに外へ出ては富士山を眺める、ということを飽きもせず行っていました。

今の住まいからは見えなくなってしまいましたが、出先で目にすると見えなくなるまで見てしまいます。

 

お父様の故郷だという「丹波篠山」(その2、もあります)について書かれたものを読むと、自分が育ったところや母親の実家の風景とリンクするところがあり、懐かしい気持ちになりました。

昔遊んでもらった従姉妹たちの顔や、近くの里山の風景を思い浮かべてみたり。

 

バリ島での不可思議エピソードも、おもしろかったけれど…

確か、宇多丸さんのラジオ(アフター6ジャンクション)で「詳しいことは怖すぎて書けなかった」、とおっしゃっていたように記憶しています。き、気になる!!

 

一番最後の「経堂」が良かった。(ちょっと怖かったけど)

小田急線の経堂駅。

小田急線ユーザーのため、幾度となく通過したことはあるものの、降り立ったことは皆無。(世田谷区にあるこの駅に、用事はない。)

筆者が小学生のときに、この駅の近くの塾に通っていたのだそうー。

小田急線といえば、「世田谷代田」なんて章もありました。

 

仙台の学校に通っていた頃、学校のそばに朽ち果てた空き家があったことを、唐突に思い出しました。その後、東日本大震災もあったし、さすがにもうないだろうなあ。

その他、通学のためだけに使っていたバス停や地下鉄の駅の風景が、次々と頭に浮かんできて、思わぬ形でのプチトリップが出来ました。

 

最後に

エッセイは割と読むのですが、記事に残すことはあまりしていません。

今回は色々と思うところがありましたので、書き残してみました。

 

岸本さんの「死ぬまでに行きたい海」はどこなのだろう?

ぜひ思い出してほしい、と思った次第。

「あとがき」までも面白かった一冊。オススメ本です。

 

家仕事の合間に、ちびりちびりと読み進めました。

読み終えてからも、好きな章を幾度となく読み返し、郷愁にふけるー。

そんなことをして楽しんでいたら、小学生の頃によく遊んだAちゃんが夢に出てきてびっくり。

 

私がみる夢の中身は、読んだ本に影響されまくりです。

もうほんと、自分でも笑っちゃうくらいに。眠りが浅いのでしょうね。