東野圭吾「ゲームの名は誘拐」の登場人物
東野圭吾著「ゲームの名は誘拐」は、2005年6月に光文社文庫から発売された長編のミステリー小説。
全339ページ。
初出は「Gainer」。掲載は2000年10月号~2002年6月号。
「青春のデスマスク」改題。
最後に、藤木直人さんが寄せた文章が掲載されています。
それを読んで知ったのですが、本作品は「g@me.」というタイトルで映画化されているのだとか。
佐久間を演じたのが藤木直人さんで、樹里を演じたのが仲間由紀恵さんだそう。
ハラハラドキドキ!のスリルを味わいたい人におすすめの一冊。
終始、興奮しっぱなしの作品でした。
以下、主な登場人物です。
佐久間駿介 主人公。サイバープランの社員。
小塚 サイバープランの社長。45歳。
葛城勝俊 日星自動車の副社長。
葛城樹理 勝俊の娘。大学2年生。
葛城千春 樹理の妹。高校3年生。
東野圭吾「ゲームの名は誘拐」のあらすじ
主人公の佐久間は、手掛けていた大きな仕事から外された。
取引先の副社長・葛城勝俊の判断だった。
納得できない佐久間は葛城宅へ向かうが、そこで塀を乗り越えて出てくる女性を目撃する。
尾行して話を聞くと、葛城勝俊の娘・樹理で、家出してきたのだという。
「誘拐されたことにして、金をもらおう」という作戦を思いついた2人。
佐久間はこの誘拐を、ゲームとして楽しむことにしたー。
東野圭吾「ゲームの名は誘拐」の感想
主人公の佐久間は、あらゆる事を「ゲーム」として扱う人間です。
男女の関係さえも。
自分はゲームにあまり触れて来ない人生でしたので、こんな風にとらえる人もいるのか、と新しい人類に出会ったような?不思議な感覚でした。
本人はスリルを楽しんでいるのかもしれませんが、周囲は戸惑ってしまいそうです。
しかしトラブルさえ面白がるようなところがありますから、ひとつの「乗り越え方」と捉えればよいのかもしれません。
誘拐、という楽観できない状況を「ゲーム」とするなんて…
肝が据わっているとしか言えませんが、この勝気な性格は、うらやましいくらいです。
溢れる自信は、どこから来るのだろう?と思いましたが、彼のスキのない計画がそうさせているのかもしれません。
無駄な事が嫌いで、常にあらゆる可能性を考えています。
犯人像についても具体的に、かつ慎重に仕上げていきます。
物語は終始、佐久間の視点から描かれています。
狂言誘拐の共犯者・樹理との場面が多いのですが、彼女の気持ちは最後までよくわかりませんでした。
突飛なことを言い出すし、行動も大胆ですが、若さゆえの幼稚な部分も垣間見えます。
この作品のすごいところは、一件落着かと思いきや、実は実は、という点。
あれ?終わりのはずだけれど、ページがまだ残っている…!どういうことだろう?と。
その後の展開が凄すぎて…。
時間があるときに読んで良かったです。
スピード感のある作品で、途中で読むのをやめられません。
東野さん、このアイディアは、どのように思いついたのだろう?
身代金受け渡しのシーンなんて、リアルに使えそうな手でしたけど。
最後に
著者の東野さんは、「良い人が出て来ない物語を―」との思いで書いたのだとか。
確かにね。
言われてみれば、登場人物の誰にも思い入れが出来ない作品でした。
皆ドライで、己が第一。「情け」はないのかね?といったふう。
映画での登場人物は、違った描き方をされているそうなので、映像作品も気になるところではあります。