吉田修一「パレード」の登場人物
吉田修一著「パレード」は、2004年4月に幻冬舎文庫から発売された小説。
単行本は2002年2月に刊行。全309ページ。
解説は川上弘美さん。
純文学に苦手意識がある私は、エンタメ系の小説ばかり読む傾向にあるのですが、吉田さんの作品はどちらの要素もあるなあと勝手に解釈しています。
では、「パレード」の主な登場人物の紹介です。
杉山良介 大学3年生。21歳。
大垣内琴美 無職。23歳。
丸山友彦 若手俳優。
相馬未来 イラストレーター。輸入雑貨店の店長。
伊原直輝 映画配給会社勤務。
美咲 直輝の元恋人。
梅崎 良介の先輩。
松園喜和子 梅崎の彼女。派遣社員。
小窪サトル 男娼。18歳。
吉田修一「パレード」のあらすじ
千歳烏山にある、2LDKのマンションで暮らす4人の男女。
大学生、イラストレーター、会社員など、職業は皆違う。
途中から18歳のサトルが加わり、5人で暮らすことに。
10~20代の若者たち、それぞれの視点から描いた物語。
吉田修一「パレード」の感想
このラスト、ものすごく驚きました。
のほほーんと「青春だなあ」なんて読んでいたのですが、とんでもない結末!
もう一回読んでみなくちゃ、と思ってすぐに読み返しました。
上京して私大に通う、良介の章からスタート。
そうそう、学生時代ってこんなだった。
作中で、当時のドラマのタイトルや出演者の名前が出てくるのですが、それが懐かしくて。
私もそのドラマの再放送観てたなあ、笑っていいとも懐かしい、とか。
続く第2章の語り手は、無職の琴美。
俳優と付き合っているのだけれど、彼には抱えている問題があります。
これは、まだ若い彼女には受け止めきれないかもしれません。躊躇してしまうのも、仕方ないのかなあ。23歳だもの。
第三章は、イラストレーター・未来の視点から。
当初、このマンションは直輝が恋人と暮らしていて(その後別れて退去)、そこへ未来が加わり良介が加わり、という経緯が記されています。
そしてこの章、実は重要なシーンが描かれていました。
一度目に読んだときは気にも留めずにいたのですが、読み返してみると「あっ…!」。
第4章の主人公は、最年少のサトル。
18歳のサトルからみると、皆はこんな風に映っているのか。
そして、変わった趣味(癖?)をお持ちで…。
バレやしないか?と、はらはらしました。
ラストの第5章は伊原直輝が親知らずを抜いた、という場面から始まります。
実は私も、この箇所を読んだ直後に親知らずを抜くことになっていて、奇妙な偶然もあるものだなあと思いました。
抜く前だったので、予習のような気持ちで読みましたが、結果、全然参考にはなりませんでした。
直輝のように麻酔を倍量にされることもなければ、痛み止めを飲まずともやり過ごせましたし。
しかも直輝、酒まで飲んじゃってるし。
※禁止事項です。
最年長である直輝は、同居人たちからやたらと相談されます。
元恋人の美咲との関係も、なんだか愉快で楽しげ。
まさか、こんな結末が待っていようとは。
まとめ
前に紹介した吉田修一さんの「湖の女たち」が面白かったので、著者の作品をもっと読んでみようと思って手に取った「パレード」。良い作品でした◎
こちらは過去の記事です。
普段は自分が「凪」の生活を送っているため、非日常の世界を読書に求めているのかもしれません。
刺激的で面白かったと思う一方で、解説の川上弘美が言うように「こわい」小説でもあります。