三浦しをん「エレジーは流れない」の登場人物
三浦しをん著「エレジーは流れない」は、2021年4月に双葉社から発売された小説。
全256ページ。
初出は「小説推理」2019年11月号~2020年6月号。
今日紹介するのは、三浦しをんさんの本です。
主人公は、高校2年生の男子。
8月になると、なぜか自分に「夏休み」があった頃を思い出します。
そしてそこから派生し、小中高の頃の思い出散歩がはじまるのです。
(大学生の夏休みは長すぎるので、逆にあまり思い出がない…。)
そういうわけで、青春小説のこちらは「夏にピッタリの作品」と私が勝手に思った一冊でした。
では、登場人物の紹介です。
穂積怜 高校二年生の主人公。
穂積寿絵 怜の母。
佐藤竜人 干物店の息子。怜の幼なじみ。
丸山和樹 喫茶店の息子。怜の幼なじみ。
森川心平 サッカー部所属の自然児。
藤島翔太 旅館の跡取り息子。
秋野愛美 竜人の彼女。
光岡伊都子 怜の母。
武藤慎一 伊都子のパートナー。
三浦しをん「エレジーは流れない」のあらすじ
穂積怜は、県立餅湯高校に通う高校2年生。
普段は土産物屋を営む母・寿絵と2人で暮らしている。
怜にはもう1人の母・伊都子が存在する。父親はいない。
愉快な同級生たちとの日常が繰り広げられるが、ある日、町の博物館から土器が盗まれたとの報道がー。
三浦しをん「エレジーは流れない」の感想
主人公の怜は、随分落ち着いた高校生だなという印象でした。
しかし、その同級生たちが個性的過ぎて面白い。
そんなメチャクチャな考えがあるかい!とツッコミを入れたくなるような、とても愉快な仲間たち。なんて楽しそうなんだろう。
賑やかな高校生活の雰囲気が伝わってきました。
怜には母親が2人います。
土産物屋の母はまだ30代で、細かいことはあまり気にしないタチのようです。
もう1人の母、伊都子は50代の女社長。
普段は東京で仕事をしていますが、月のうち一週間、怜と過ごすためだけに通っています。その家が、もの凄い豪邸なのです。
(次元が違う金持ちが出てくると、盛り上がる。)
怜は、どちらの母親から生まれてきたのかを気にしていない様子。
このあたりも大人だなあと思ってしまいますが、出生の秘密は、後に彼も知ることとなります。
表紙をめくると、もち湯ちゃんストラップと思われるイラストが。
どちらの母親も、愛にあふれています。怜は本当に、いい人たちに育てられました。
周囲にも恵まれていました。事情を知っている同級生、そして餅湯温泉駅前商店街の皆の、さりげない優しさ。
さて、土器が盗まれた件です。
これは、餅湯独特のゆるい感じが功を奏した結果になったように思います。面白い展開!
昔からの知り合いと同じ高校に進学し、机を並べるって、こんな感じなのかなあと想像しました。
地元からは遠く離れた高校に進学した私は、羨ましいなとも思いました。
でも今になって思えば、高校時代ってなんであんなに楽しかったのだろう。
まとめ
近所に県立高校があります。
今は夏休みで部活動の生徒を見かけるくらいですが、それ以外の時期はたくさんの高校生を目にします。
自分にもあんな頃があったのよね、と生徒を見ては思ったりすることも。
あの頃は理解できなかったことが理解できるようになったり、経験を積んだことで、少しは大人になれたかなあ?と自分では思っているのだけど、どうでしょうね・笑。
私も怜と同じように、将来なりたい職業とか希望とかないまま、進路を決めてしまったな。