まつりパンライフ

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貫井徳郎「邯鄲の島遥かなり・中」のあらすじと感想

貫井徳郎「邯鄲の島遥かなり・中巻」表紙画像

 

貫井徳郎「邯鄲の島遥かなり・中」の登場人物

貫井徳郎著「邯鄲(かんたん)の島遥かなり」中巻は、2021年9月に新潮社から発売された小説。

全566ページ。

初出は「小説新潮」の2017年9月号~2019年5月号。

 

待ちに待った中巻。ようやく手元に届きました。

届いたその日に読み始め、翌日には読了。

早くも下巻が待ち遠しく感じるほどに、面白かったです。

 

では中巻での、主な登場人物の紹介です。

 

上屋孝太郎 イチマツの孫。政治家を目指す。

一橋直人 イチマツの孫。一橋産業の時期社長。

一橋ハナ 直人の妻。

一橋百子 直人の妹。

一橋正人 直人の弟。

一橋圭子 直人の妹。

 

小隈康夫 イチマツの孫。漁師。

小隈ハル 康夫の娘。超能力者?

岩瀬功吉 イチマツの孫。

早坂一磨 功吉の幼なじみ。

 

征子 イチマツの孫。雑貨屋に嫁ぐ。

尊通 イチマツのひ孫。ガキ大将。

創平 イチマツのひ孫。昆虫が好き。

君子 イチマツの孫。

メイ子 君子の娘。

 

こちらは、上巻の記事です。

 

www.matsuripan.com

 

貫井徳郎「邯鄲の島遥かなり・中」のあらすじ

美しい顔を持ち、島に福をもたらすと崇められていたイチマツ。

彼は島を去る前に数々の女性と関係を持ったため、神尾島(かみおじま)には彼の子孫が大勢暮らしていた。

一ノ屋の血を引く者は皆、唇の形の「イチマツ痣」が体のどこかにある。

 

彼らは、イチマツの顔も知らずに大きく成長している。

のどかだった島にも、戦争の影響が出ていたー。

 

貫井徳郎「邯鄲の島遥かなり・中」の感想

上巻は、関東大震災で幕を閉じました。

続く中巻は、大正時代の終わりから終戦までの神尾島が舞台となっています。

本の表紙は戦争を連想させる絵ですから、その時代の話です。

 

初めの章は、選挙に出ようと意気込む男性が主人公。

敵は、人格者とされる教師。出馬するとなるとお金がかかるのは、今も昔も変わらないのですね。彼らの「作戦」は、どうかと思いますが。

 

選挙権が与えられた国民(当時は男性のみ)は、どんな気持ちだったのでしょう。

私が初めて投票したときの感情は、戸惑いでした。

 

さてさて。上巻でも登場した「一橋産業」は、ますます景気が良くなっていました。

そこへやって来たのが、一人の少女。

創業者の隠し子だ、と。イチマツ痣もあるのです。

 

この章では、兄弟姉妹4人がかわるがわる語り手に。

少女をどうするかの話し合いでは、皆の意見がコロコロと変わります。相手をどう見ているのかが記されており、とにかく面白かった!金持ちに、こういった騒動は付き物なのかな?

この結末は、あっけにとられました。

 

貫井徳郎著「邯鄲の島遥かなり」中巻の背表紙

 

神尾島にある火口で、心中を決行した若い男女もいました。

新聞で報じられたことで、後を追う者たちが押し寄せてきてしまうという事態に。

 

後の章で、戦死してしまう命があることを思うと、そんなに簡単に身投げしないでよ、と言いたくなってしまいます。

そう、後半は戦争の恐ろしさが描かれているのです。多くの人々の命が失われた、という悲しい事実。改めて、なんと酷な時代だったのだろうと。

 

予言めいたことを話す子供も出てきます。

父親は、もしや予知能力なのでは?と気持ちが逸りますがー。

この章の最後の1行、鳥肌が立ちました。

 

まとめ

中巻に収録されているのは、第8部から第13部まで。

本作は、太平洋戦争終結というラストでした。

最後の方は、悲しすぎて読むのが辛かったほど。

戦争はもう、絶対ダメ。

 

続く下巻は、戦後の日本の様子が描かれているのでしょうか。

最終章、どのような展開が待っているのか楽しみです。