まつりパンライフ

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伊坂幸太郎「オー!ファーザー」のあらすじと感想

伊坂幸太郎「オー!ファーザー」の表紙

 

伊坂幸太郎「オー!ファーザー」の登場人物

伊坂幸太郎著「オー!ファーザー」は、2010年3月に新潮社から発売された長編小説。

2006年3月から、新聞で連載が始まった作品。単行本化にあたり、加筆修正されたそうです。

全361ページ。

 

「河北新報」(かほくしんぽう)に連載されていた小説でした。

宮城県では、とてもなじみのある新聞。実家でも購読しているため、送られてくる荷物の梱包は、いつも河北新報だったりするんです。

 

では、主な登場人物の紹介から。

 

由紀夫 高校二年生の主人公。バスケ部。

鷹 由紀夫の父。ギャンブラー。

悟 由紀夫の父。大学教授。

葵 由紀夫の父。居酒屋経営。

勲 由紀夫の父。中学教師。

知代 由紀夫の母。

 

多恵子 由紀夫の高校の同級生。

熊本 バスケ部の3年生。

鱒二 由紀夫の中学の同級生。

小宮山 由紀夫の高校の同級生。

富田林 賭場の経営者。

 

伊坂幸太郎「オー!ファーザー」のあらすじ

高校二年生の主人公・由紀夫は、母、そして4人の父親たちと暮らしている。

父親らは皆「自分が父親だ」と言うが、諍いもなく共同生活を送っていた。

 

由紀夫の同級生・多恵子はその状況を知り、面白がる。

 

そんな由紀夫の周辺では、同級生の不登校にはじまり、「牛蒡男」からのいちゃもん、鞄のすり替え現場の目撃、空き巣騒動に心中事件(?)と、次々に不可解なことが起こる。

県知事選が近いことと、なにか関係しているのかー?

 

伊坂幸太郎「オー!ファーザー」の感想

主人公には父親が4人(!)という、面白い設定の話です。

由紀夫はどの父親からも有益な情報や知恵を享受できて、ちょっと羨ましくもありますね。うちの父、無口なもので。

 

ギャンブル好きのは勘を頼りに生きているところがあり、危なっかしく感じるものの、危機を察知する能力が発達しています。

人間も動物ですから、意外とこういう勘は侮れないのかも。

 

博識のは、いつも冷静で落ち着いています。由紀夫の勉強も見てくれます。鼻にかけるところがないってのが素晴らしい。

 

は女好きで、とにかくモテる。

優しくて、女性の扱いが上手。ビジュアルも良し◎

 

中学教師の

個人的な感想ですが、4人の父親の中で一番大変な職業だと思いました。

中学生の相手は、難しいですよ。一番反抗的な時期じゃないですか?

 

とまあ、個性豊かな4人の父親たちとの暮らしですが、皆に共通するのは、麻雀が好きという点。

 

伊坂幸太郎著「オー!ファーザー」の扉頁

 

そんな中、「あらすじ」のところに書いたような騒動が次々と起こります。

皆が得意分野を活かす形で事が進んでいくのですが、これがまたね、伊坂さんならではの、あったかくていい話。謎解きのようでもあり。

何回読んでも、ぐっときてしまう。

 

ラストのハプニングにはそわそわしましたが、あんな着地点があるとは!!

 

4股をかけていた由紀夫の母・知代は、最後までミステリアスな存在のまま。

それはそれで良かった◎

 

最後に

伊坂さんにとって、はじめての新聞連載だったそう。

他の作家さんが以前何かで「新聞の連載小説は大変だ」と話していたのを思い出しました。コンスタントに原稿をあげていかなければならない作業は、素人の私が想像しても大変だろうな、と。

 

この作品の連載が始まったのが、2006年。

その頃はまだ実家暮らしで、河北新報がすぐに読めるという状況だったわけです。

ですが私は、新聞の連載小説は書籍化されてから読むという流れになってしまっていました。

 

少しずつ読み進めることが出来ない、せっかちな性格がそうさせているのだと思いますが。この作品は、連載が終わってもなかなか書籍化されなかったのです。

2007年に連載が終わり、単行本の発売が2010年。

 

その経緯について「あとがき」で触れられています。

なにはともあれ、無事にこの素晴らしい本が発売されたのですから、ファンとしては嬉しい限り。

文庫版も出ています。