まつりパンライフ

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林真理子「みずうみの妻たち」のあらすじと感想

林真理子「みずうみの妻たち」上下巻

林真理子「みずうみの妻たち」の登場人物

林真理子著「みずうみの妻たち」(上下巻)は、2018年9月に角川文庫から発売された小説。

なお「湖のある街」というタイトルで、1990年10月から1992年3月までの期間、新聞に連載されていたとのこと。

 

先週のラジオ深夜便で、過去のアーカイブ放送が流れていました。

林さんが40代前半の頃のインタビューだと思われます。

声は若いけれど、当時から話が上手だったのだなあと聞き入ってしまいました。

そんなわけで久々に、林さんの恋愛小説を読み返してみようと思った次第です。

 

主な登場人物の紹介です。

 

香山朝子 菓子屋「香泉堂」の社長夫人。

香山哲夫 香泉堂の8代目。朝子の夫。

香山時江 哲夫の母。

石川文恵 造り酒屋に嫁いだ元キャビンアテンダント。

 

大和田真一 建築家。

根岸良一 大和田の部下。

伊達由香里 空間プロデューサー。

加藤修二 作家。

 

林真理子「みずうみの妻たち」のあらすじ

ある地方の老舗の菓子屋に嫁いだ朝子。

彼女が所属する「みずうみの会」は、裕福な夫を持つ12人の女たちで構成されている親睦団体である。

中でも可愛がっているのが、元キャビンアテンダントの文恵だが、彼女経由で夫の浮気を知ってしまう。

 

夫の哲夫は地方では飽き足らず、東京に和食家を開き、行き来している。

これまでは水商売の女と浮気をしていた彼だが、今回の相手は違うようで、開き直っている。

 

そんな折、朝子はフランス料理の店を始めたい、と口走ってしまう。

東京の建築家に設計を頼むことにした彼女は、東京との往来を始めるー。

 

林真理子「みずうみの妻たち」の感想

ひっさびさの恋愛小説(しかも長編)に、そわそわしてしまいました。

でも、読み出したら止まらない。

上巻1日→下巻1日という具合に、あっという間に読み切りました。

 

他人の恋愛事情にはさほど興味がないのですが、小説だと素直に楽しめますね。

本の中で決着がつくから、かもしれません。

 

恋愛小説ではあるのですが、皆家庭がある人たち。

いわゆるダブル不倫です。

最初に危険な橋を渡ってしまったのは、朝子の友人・文恵。

 

富裕層の奥様方ですから、お金がたんまりあります。

そして、大胆。

世間を知らないって、こわいです。

危なっかしい一方で、妙に度胸がある。

 

彼女らが暮らす街は、さほど大きくない街のようですから、噂は瞬く間に広がります。(東京以外って、割とそうですよね。)

 

東京に暮らす相手との逢瀬は新幹線を使って移動する必要があるとはいえ、意外な場所で誰かに見られていたりするものです。

特に文恵や朝子は、目立つ存在だろうと思われます。

 

林真理子著「みずうみの妻たち」背表紙画像

 

30年以上前に書かれた話ですから、携帯電話が普及していません。

当時の遠距離恋愛は、さぞ大変だったでしょうね。

 

フランス料理の店を出すことに決めた朝子。

建築家との打ち合わせのため、幾度も都内に足を運ぶことになります。

合間にはホテルで体を休め、デパートを見て回る。なんと贅沢な時間の使い方でしょう。住む世界が違います。優雅だなあ。

 

この主人公の気持ちは、私にはいまいち理解できませんでしたが、夫の浮気や子供が授からないという悩みを抱えつつ、自分で何かを成し遂げようとする姿勢はあっぱれです。

全編、朝子の視点で描かれている物語なのですが、他の人物からみた朝子は、どんな風なのだろう。

 

まとめ

正直に言うと、恋愛小説(不倫もの)は昔ほどのめり込んで読めなくなってしまっている自分がいました。

時代や風潮もあるのかな、とは思いますが、主人公の気持ちがよく分からないと言いましょうか。

 

二十歳くらいの頃は、恋愛小説ばかり読んでいたような気がしますけどね。

歳をとったのかなあ。

また昔みたいに、純粋に恋愛小説を楽しめるときが来るのかなあ。

 

とはいえ、林さんの観察眼はすごい。

本当に、人をよく見てる。

男女の巧妙な駆け引きの描写は、さすがです。