まつりパンライフ

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伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」のあらすじと感想

伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」単行本表紙

 

伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」の登場人物

伊坂幸太郎著「ペッパーズ・ゴースト」は、2021年10月に朝日新聞出版から発売された長編小説。

全387ページの書き下ろし作品。

 

今回も盛りだくさんの内容で、楽しませてもらいました。

伊坂さんの本はどれも面白いのだけれど、考え方を広げてくれます。

登場人物らを通して、こちら側に訴えかけてくる「何か」があるのです。ささります。

 

では、主な登場人物の紹介です。

 

ロシアンブル ネコジゴハンター。

アメショー ネコジゴハンター。

 

檀千郷 中学の国語教師。

吉村先生 中学の数学教師。

布藤鞠子 中学2年生。小説を書いている。檀の教え子。

里見大地 中学2年生。檀の教え子。

里見八賢 大地の父親。

 

マイク育馬 テレビ番組の司会者。

成海彪子 サークルのメンバー。ジム勤務、兼ビール販売員。

野口勇人 サークルのメンバー。

庭野 サークルのメンバー。庭師。野口の姉の恋人。

 

伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」のあらすじ

ネット上で猫の虐待の様子を実況した配信者、そしてそれを煽った視聴者に復讐をするため、猫の飼い主に雇われている「ネコジゴハンター」の2人。

…らが登場する小説を書いているのが、中学2年生の女子生徒。

自作の小説は、先生に読んでもらっている。その教師は、特殊な力の持ち主である。

 

彼が担任する生徒の父親の行方が分からないというので、関係者と思われる人物らと接触を試みるが、厄介なことに巻き込まれてしまうー。

 

伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」の感想

あらすじで触れた、先生の持つ「特殊な力」というのは、ある人物から「感染」すると、その人の翌日の未来がみえてしまう、というもの。

とんでもない設定、と思ってしまいそうなところですが、すんなりと受け入れることが出来ました。この檀先生が、極めて常識的で正義感の強い人だからかもしれません。

 

一方で、檀先生の教え子が書いた小説が同時に進行していく、という不思議な構成。

こちらの登場人物は、悲観的で心配性なロシアンブルと、楽観的なアメショー。

ロシアンブル側の私としては、同じようなことを考えている人が出てくる!と嬉しくなりました。

 

そう、天気予報を信じ切れずに傘を持って出ちゃうとかです。

「かもしれない運転」の精神、わかる!

常に心配事を考えているとか。もうそういう病なのかもしれない。そしてここまできたら、うまくこの性分と付き合っていくしかないのでしょう。

 

2人の対照的な性格と、おもしろ感満載の会話、最高でした。駄洒落、好きなんです。

 

伊坂幸太郎著「ペッパーズ・ゴースト」扉頁
伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」背表紙画像

 

教え子の父親・里見八賢がいなくなる、というところから、檀先生が騒動に巻き込まれていきます。彼は正義感が強い人ですから、もしかしたらなにか出来るんじゃないか、と考えて動くのです。

出来ることは、やっておきたい気持ちは分かりますが、危険すぎる状況にハラハラ。

 

5年前の「カフェ・ダイヤモンド事件」が関係しているらしい、と判明します。

この事件の被害者遺族らで構成されたサークルメンバーらが、良からぬことをーという話になっていきます。

 

展開が全く読めない、というのが楽しかったです。

中盤で、「アメショー君たち、どうして?だって君たちさあ…」と、混乱しました。

しかし同時に、「ペッパーズ・ゴースト」というタイトルの由来も分かり、ますます面白くなります。

 

テロとか監禁とか、ヒヤッとする言葉が出てきますが、読み終えてみると、スッとさわやかな気持ちになりました。

 

まとめ

作中に度々出てくるニーチェ、、興味は沸いたけれど。

さすがに難しそう。永遠回帰とか。

 

偶然ですが、前回紹介した本(宮部さんの)も、超能力が出てくる話でしたね。

着地点は違いますが、超能力が「いいことばかりではない」のは一緒かもしれません。

 

伊坂さんの手にかかると、こうなるのかあと、感服。

ものすごーく面白いので、ぜひ。