まつりパンライフ

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有栖川有栖「捜査線上の夕映え」のあらすじと感想

有栖川有栖「捜査線上の夕映え」の表紙画像

有栖川有栖「捜査線上の夕映え」の登場人物

有栖川有栖著「捜査線上の夕映え」は、2022年1月に文藝春秋から発売された長編のミステリ小説。

初出は別冊文藝春秋(353号~356号)。

全459ページ。

 

火村英生シリーズの最新刊。

このシリーズは、どれも面白くて好きです◎

本作でももちろん、火村をはじめとする濃いキャラクターの人物らが読者を楽しませてくれます。

 

旅気分を味わえたミステリでした。

旅どころか、長らく電車にすら乗っていない身としては、刺激的な一冊でありまして。

 

では、主な登場人物の紹介です。

 

有栖川有栖 ミステリ作家。

火村英生 犯罪社会学者。

 

船曳 警部。スキンヘッド。

高柳真知子 刑事。通称・コマチ。

森下恵一 刑事。

鮫山 警部補。

中貝家 布施署長。

繁岡 巡査部長。

茅野 刑事。

因幡丈一郎 新聞記者。

 

奥本栄仁 元ホスト。29歳。

歌島冴香 投資家。30歳。

黛見浪 元コンパニオン。

久馬大輝 不動産テックの会社に勤務。

吉水蒼汰 通販会社の契約社員。

染井良夫 マンションの管理人。

 

有栖川有栖「捜査線上の夕映え」のあらすじ

犯罪社会学者で準教授の火村。

彼がフィールドワークとしているのが、犯罪捜査。

 

東大阪市内のマンションで、スーツケースに詰められた男性の死体が発見された。

凶器は置物。頭を殴られていたという。5日経っても、捜査は難航。

 

火村とアリスが警察の捜査に加わり、事件の真相に迫るー。

 

有栖川有栖「捜査線上の夕映え」の感想

今回は、コロナ禍での事件です。

火村も、大学の授業はオンラインで行っているそう。

彼の住まいの大家である「婆ちゃん」に気を遣って外出を控えていたようですが、婆ちゃんの後押しもあり、フィールドワークである事件の捜査に加わることに。

 

今回の事件には、越えられない高い壁が。

普通に考えていけば、容疑者らに犯行は無理なのです。アリバイも成立しますし。

皆が様々な仮説を出し、先入観なしの検証をしていくのですがー。

 

途中、火村とアリスは大阪を離れ、とある地方の島へ移動します。

土地勘のないところでしたので、すぐさま地図アプリで場所を確認。

あとがきによれば、モデルになった島があるそう。

ここで、捜査線上の人物らの過去を探ることになるのですがー。

 

いやはや、火村の勘の良さには驚かされるばかり。

言われてみればそうかな?とは思うものの、あの仮説にはたどり着きません。

 

有栖川有栖著「捜査線上の夕映え」背表紙
有栖川有栖著「捜査線上の夕映え」扉頁の文字

 

タイトルにもなっていますが、この表紙の夕映えの写真が美しくてハッとします。

 

年々、電飾の煌びやかさよりも自然の美しさにひかれるようになった、という発見もありつつ。

表紙の写真をみて、どこで撮影されたのかが分かる人もいるでしょうね。

 

トリックは毎度のことながら、ほぉ…!となったけれど、犯人を含む登場人物らの想いが印象に残りました。殺人を犯す動機、今回は複雑なものでした。いくらなんでも、殺さなくても良いのに、と思ってしまいますが。

犯人の、その後の行動も思い切ったものでした。

本格的なミステリ作品。大満足の内容です。

 

最後に

相関図や時系列をメモしながら読み進めました。

(時系列のまとめは、とても役立った。)

 

「あとがき」を読むのが好きです。

毎回、何度も読み返してしまうのが常。

人間らしさを感じられる文章を読むと、有栖川さんて、本当に存在しているんだなあ…!、などと、おかしな事を考えてしまっています。わかってくれる人いるかなあ、この不思議な気持ち。