まつりパンライフ

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桐野夏生「ダークネス」のあらすじと感想

桐野夏生「ダークネス」の登場人物

ようやく、関東にも秋が来ました。

乾燥した空気が肌に心地よい季節です。

今年も、長い長い夏でした。

 

スーパーの店先にも秋の食材が並びはじめ、早く柿がお手頃価格にならないかなあと待ちわびている、今日この頃です。

今日紹介するのは、先日読み終えて、とても面白かった本です。

「探偵・村野ミロ」が登場する、桐野さんの長編小説です。

 

桐野夏生著「ダークネス」は、2025年7月に新潮社から発売された小説。

全498ページ。

初出は「小説新潮」2022年1月号~2025年1月号。

単行本化にあたり、加筆・修正をしたとのこと。

 

主な登場人物の紹介です。

 

村野治夫 医学部の2年生。

村野ミロ 治夫の母親。

比嘉由惟 治夫の同級生。

ソ・ジンホ ミロの夫。韓国人。

知念リナ バーのママ。38歳。

知念流里 リナの娘。14歳。

矢立喜志子 弁護士。

村野善三 ミロの義父。

 

金城 ゴルフ場のコース管理者。

鄭健太郎 クリニックの理事長。

鄭健栄 健太郎の父。

久恵 盲人のマッサージ師。

友部秋彦 ミロのかつての隣人。

山岸泰介 飲食店の経営者。

山岸 ヤクザ。泰介の養父。

山岸昌樹 山岸の弟。

 

桐野夏生「ダークネス」のあらすじ

沖縄にある大学の医学部に通うハルオ。

母と二人で、しがらみを作らずに暮らしてきた。

父親のことは何も明かされずに生きてきたハルオだが、どんな人物なのか知りたい思いは少なからずあった。

 

ミロ自身は人間関係を構築せず、他人には「うちのことは何も話すな」とハルオを育ててきた。

ミロには隠したい過去があることは気付いていたが、ハルオは知るすべもない。

 

しかし、外の世界に目を向けて見れば、思いもよらぬところから自分の出自が徐々に明らかになってくるのだったー。

 

桐野夏生「ダークネス」の感想

ハルオ視点のパートと、ミロ視点のパートがあります。

二十歳のハルオと、六十歳のミロ。

彼らはお互い、距離を取って過ごしていました。息子と母親というのはこんな感じなのだろうかと思いつつも、でもやっぱり独特だよなあ、と。

実際ハルオは、母親の正式な年齢も、何をしているのかも、なぜ自分たちが沖縄で暮らしているのかも知らないのです。

 

ハルオが高校生になったときから別々に暮らしている母と息子は、仲が悪いわけではありません。

息子には干渉しないミロですが、わが子に対する深い愛情はあります。

ある時点までは金銭的に苦労しながら暮らして来た二人ですが、相続によってお金が舞い込んで来て、余裕ができます。

 

とはいえ、ミロはハルオに贅沢させているわけでもないので、ゴルフ場でアルバイトをすることに。ここでの出会いが、ハルオを外の世界と繋ぐことになった第一歩だったのかもしれません。

ハルオは大学の同級生に好意を寄せられるものの、意外な接点が明らかになり…これは私も、声が出るほどの驚きでした。

 

なぜミロがハルオに父親の事を言いたがらなかったのか、を知ってしまうハルオ。二十歳の青年にはキツイ現実。二十歳の頃は、まだ子供の部分や世間を知らないところがあるでしょうから、危険極まりない状況に自ら飛び込んでいくような場合もあるのかもしれないと、ふと思いました。

かねてより気になっていた、自分の父親について知りたいという好奇心もあったのかもしれませんし。

 

度々出てくる久恵、という人物の執念が恐ろしくて恐ろしくて。

ネロに対して強い恨みを持ち続け、どこまでも追いかけていくー。

スリリングでとても面白い一冊でした。

 

まとめ

村野ミロのシリーズ作品を読んでいなくても、十分に楽しめる内容だと思います。

現に私は、前作の「ダーク」のおぼろげな記憶しかありませんでしたから・笑。

 

久々の長編だったせいか(最近は短編やエッセイが多かった)、読み切った!という謎の達成感がありました。面白かったので、一気に読めましたけれど。

 

秋めいてきたこの季節にも、おすすめです。