まつりパンライフ

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天童荒太「昭和探偵物語 平和村殺人事件」のあらすじと感想

天童荒太「昭和探偵物語 平和村殺人事件」の登場人物

ぬるっと始まったわが家の2026年。

今年も、凪のような日常が過ごせることを切に願います。

そして何よりも、家族が健康に過ごせますように。

 

さて、今年最初に紹介する作品は、昨年発売された天童荒太さんのミステリー小説。

これ、タイトルの「昭和」に「レトロ」とふりがながふってあるんです。

昭和生まれの身としては、確かにそう呼ばれてもおかしくないくらいに時が経ってしまった、という感じがしなくもないわけですが。

昭和は長く続きましたから。

 

天童荒太著「昭和(レトロ)探偵物語 平和村殺人事件」は、2025年6月に角川春樹事務所から発売された小説。全382ページ。

主な登場人物の紹介です。

 

鯨庭行也 探偵。ギター弾き。

国生良夫 警視庁広報部・警部補。

泉沢香子 警視庁総務部・巡査。良夫の従妹。

華井乃愛 女優。19歳。

 

林田 尽忠村の巡査。

近藤 市警察・警部。

天野 市警察・刑事課。

 

萩原信太郎 乃愛の父親。

滝山亜希子 乃愛の母親。

滝山将一 亜希子の兄。

滝山雅之 乃愛の祖父。村長。

滝山千世 乃愛の祖母。

 

池辺淳吉 尽忠村の住人。林業と建築業を営む社長。

大崎秀司 尽忠村の住人。元警察官。

尾藤重雄 尽忠村の住人。

衆玄和尚 尽忠村の僧侶。

景山憲一 医師。衆玄和尚の甥。

 

天童荒太「昭和探偵物語 平和村殺人事件」のあらすじ

1966年(昭和41年)、警視庁広報部の警部補である国生良夫は、映画監修に協力した関係者、という立場でパーティーに招かれた。主催者側から、伴奏者が急に来られなくなったとの事情を聞き、ギター弾きの鯨庭行也を伴って会場へ。

 

そこでの会話から、映画の主演・華井乃愛の生まれた村が、尽忠村から平和村に名前が変わる予定だと知る。それに合わせ、華井乃愛が出席するイベントを用意しているが、乃愛宛に「村には帰って来るな」との脅迫めいた手紙が届いた。

しかし本人の強い希望もあり、イベントへは参加するという。

 

村の滞在中に乃愛の身に何かあっては、ということから、国生は香子と鯨庭を伴って乃愛の故郷へ向かうことにー。

 

天童荒太「昭和探偵物語 平和村殺人事件」の感想

過去に起きたある事件について、当時警部補だった国生良夫の視点から描かれています。

語り手は国生ですが、主人公は事件を解決に導いた人物・鯨庭行也、(いさにわゆきや)成る人物でしょう。彼は流しのギター弾きをしたり、探偵業をしたりして暮らしています。

次々に驚くべき推理力を発揮します。そのひらめきや観察眼に、こちらはもう虜。わずかなヒントから、真実を見出す能力に長けているのです。

そうした能力を知り、周囲は何かと彼に助けを求めるのでしょう。

 

まず、乃愛らが村に向かう列車の中で見知らぬ男に襲撃される事件が起こります。

そして、彼らが村に滞在している間に、殺人事件が発生してしまうのです。

 

人間関係が複雑に絡み合い、当初思い込んでいた状況は、次々にかわっていきます。

背景にあったのは、戦争による悲しい事情。

 

昭和41年のことですから、現代とは違います。携帯電話もネットもないので、日常生活も異なります。そのため、作中には度々注釈が入ってきます。

その注釈が、とても興味深いのです。

国生良夫は昭和9年生まれ。なんと、うちの祖父母と同世代です。

 

当時の日本の様子に、へぇー!と驚かされたり、そんな事がまかり通っていたなんて!と腹が立ったり。時代背景が理解できると、物語の深みがぐっと増すように思います。

 

何よりも、普段接する人の中に戦争を経験したことのある人物がいることに驚きます。乃愛の父親も元日本軍として描かれていますし、戦地で亡くなった方が身近にいる、というのも珍しくない話のように存在しているのです。

生きて帰って来られても、心や身体に傷を負っていたり。

 

まさか、こんなラストが待っていたとは予想出来ませんでした。

しかし、読後感はどこかからっとしていてなかなか良いものでした◎

面白かった!とおすすめ出来る一冊です。

 

最後に

巻末の謝辞には、天童さんが探偵小説を書くに至った経緯が記されていると同時にに、書くことがこれほど楽しいと感じたのは初めてだった、との文言がありました。そして、鯨庭の探偵物語を書きつづけたい、との嬉しい文も!

ぜひせひ!

 

再び、鯨庭の推理を堪能したいですね。

ちなみに、いさにわゆきや成る人物は実在していたそうです。

検索して初めて知りました。

天童さん、なかなかにくい事を仕掛けましたね。