伊坂幸太郎「グラスホッパー」の登場人物
伊坂幸太郎著「グラスホッパー」は、2007年6月に角川書店から発売された小説。
全345ページ。単行本は、2004年7月に発売。
加筆・修正し、文庫化したとのこと。
文庫版の解説は、杉江松恋さん。
この間紹介した「AX」(アックス・殺し屋シリーズ)を読み、このシリーズを再び読んでみようと思いました。
確か実家にあったはず、と母に連絡を取り「グラスホッパー」等々、昔読んだ本を何冊か送ってもらいました。(懐かしい表紙ばかり!)
さっそく読んでみたのですが、結構中身を忘れている…。
(過激な描写が多いので、無意識のうちに消し去っていたのかな…、)
シリーズ第3弾の「AX」については、以下の記事にまとめました。
「グラスホッパー」の主な登場人物の紹介です。
鈴木 「フロイライン」(通称・令嬢)の契約社員。元数学教師。
鯨 (自殺をさせる)殺し屋。
蝉 (ナイフを使う)殺し屋。
比与子 「フロイライン」で働く女性。
寺原 「フロイライン」の社長。
梶 議員。
岩西 蝉の上司。
槿(あさがお) 押し屋。
伊坂幸太郎「グラスホッパー」のあらすじ
妻を殺された鈴木は、犯人の父親(寺原)が社長を務める会社・フロイライン(令嬢)に入社。
復讐をするためである。
しかし、鈴木の目の前で寺原の息子が車に轢かれて死んでしまう。
彼は、誰かに押されて殺されたのではないか。
押した人物を追うことになった鈴木がたどり着いたのはー、というあらすじ。
伊坂幸太郎「グラスホッパー」の感想
この作品は、鈴木、鯨、蝉の3人の視点から描かれています。
身体が大きい殺し屋・鯨は、「自殺に見せかけて殺害」という方法を用います。
蝉は、ナイフを使って容赦なく殺害します。
「蝉」だけに、うるさい殺し屋です。
この2人の殺し屋には、心がないのかな?
依頼されれば、即実行。待ったなしです。
蝉の「手加減なし」の犯行には、非情さを感じました。
一方、鯨の前には、ふいに亡霊が現れます。
自らが殺めた人々が、突如現れるのです。
これはどういうことかな?と色々考えましたが、鯨の愛読書とも無関係ではないのかも、とか思ったり。
そして、語り手の中では唯一の一般市民である鈴木。
元数学の教師である彼は、妻を亡くしています。
「令嬢」という会社の社長の息子に殺されたため、復讐をするべく令嬢に入社。
亡き妻を思い続ける鈴木の気持ちが、要所要所に出てきます。
「やるしかないじゃない」というのが口癖だったといいますが、これ、好きだなあ。
彼女は、時と場所を選ばずに実行していたようですが(←笑ってしまった)、腹を決めてやらなきゃ、ってときもありますよね。
語り手ではないものの、「槿」 (むくげではなくあさがお、らしいです。)の存在感!
すみれと名乗る妻と、2人の息子。男の子って、あんなに無邪気なの?かわいすぎる。愉快な家族。
後半の展開がとっても面白くて、意外で。
夢中で読みました。
読み返しても、面白い。グッときます。
まとめ
初めにも書きましたが「殺し屋シリーズ」というだけあって、さらっと乱暴なシーンが出てきます。
「それは痛い痛い痛い…!」となってしまうにもかかわらず、読むのをやめられないほど面白いのです。
鈴木の人のよさに、彼のパート部分だけは、終始ほっこり。
奥さん、幸せだったね。
2人が出会ったときの回想シーン、最高◎
シリーズ第2弾の「マリアビートル」も、そのうち読もうと思います。