まつりパンライフ

家で焼いたパンと読んだ本の備忘録、愛用のキッチングッズの紹介をしています

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」のあらすじと感想

伊坂幸太郎著「ラッシュライフ」の文庫版表紙

 

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」の登場人物

伊坂幸太郎著「ラッシュライフ」は、2005年5月に新潮文庫から発売された小説。

全469ページ。(解説部分を含む)

 

単行本は2002年に発売。

※改稿を行い、文庫化。

 

巻末の解説は、池上冬樹さん。

 

今日紹介する「ラッシュライフ」は、まだ実家にいた頃に読んだ作品です。

これも良い本だったな、と懐かしい表紙を目にしたので再読しました。

 

では、主な登場人物の紹介です。

 

黒澤 泥棒。35歳。

河原崎 大学生。絵が得意。

高橋 宗教家。

塚本 高橋の側近。幹部。

京子 精神科医。

青山 サッカー選手。

豊田 就活中の中年男性。

舟木 豊田の上司。

佐々岡 元画商。

 

志奈子 画家。28歳。

戸田 画商。60歳。

 

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」のあらすじ

泥棒は、侵入できそうな家のリサーチを続ける。

大学生は、憧れの「神」である高橋に近づこうとする。

リストラされて職探し中の男性は、なぜか野良犬と共に行動することになる。

ダブル不倫中の精神科医は、不倫相手と一緒になるために「ある計画」を実行しようと企む。

 

別々の人生を歩んでいる、彼ら。

どこでつながるのかー?

 

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」の感想

2度、3度と読み返すと、よりこの本の凄さが分かります。

(もちろん、1度目も面白く読めるのですが。)

 

いくつかの、ばらばらに進んでいくストーリー。

群像劇ですね。

 

読み進めるについて、おぼろげだった話の輪郭が徐々にはっきりしてきて、徐々に全体がみえてきます。

そして、その全体像がみえてからがさらに面白いな、と私は思いました。

 

エッシャー展、野良犬、白人女性、バラバラ死体…。

いくつかのキーワードに注目しながら、何度も読み返しました。(エッシャーの絵は、単行本の表紙になっていましたね。文庫版では挿絵で登場します。)

そうそう、物語の初めに登場するいけ好かない成功者(戸田)も、忘れてはいけません。

 

ここであれと繋がったか!となる瞬間の、ゾクゾクする感じがたまりませんでした。

 

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」の文庫本・背表紙画像

 

キャラクターも、実にユニーク。

 

泥棒らしからぬ、不思議な行動を取る黒澤。

意外すぎる場所での、ある人との再会シーンが印象的です。この箇所の記憶が、やけに鮮明に残っていました。

ダブル不倫の関係にあり、なんとしてもサッカー選手の彼と一緒になりたい女医。う~ん、応援は出来ない。

 

宗教にすがる大学生・河原崎は、父が自殺したという過去を持つ。新興宗教とは距離を置きたい、と改めて思った…。

登場人物の中で、一番沁みたのは豊田。

リストラされ、求職するもなかなか採用が決まらぬばかりか、妻と息子にも見放されてしまった彼。途中からは何故か、野良犬と行動を共に。こちらまで滅入ってしまいそうな境遇。

 

この本、おとぎ話のような?一面もあるように感じました。

 

生きていると、様々な可能性があるわけで。

薄汚れた野良犬(しかも老犬)が、まさかまさか。

あんなことが待ち受けているなんて。

 

まとめ

エピソードが強烈だからか、舞台が仙台だからか、割と内容を覚えていたことに自分でも驚きました。

 

ローカルな話題で申し訳ないのですが…

遠足で言った泉ヶ岳、通学路だった環状線、広瀬通りなども登場。

 

仙台駅前のペデストリアンデッキにあるベンチ、私もよく座った!とか、もう懐かしすぎて柄にもなくセンチメンタルに。

駅前から続くアーケード街、今はどんな風になっているのだろう?