伊坂幸太郎「クジラアタマの王様」の登場人物
伊坂幸太郎著「クジラアタマの王様」は、2019年7月にNHK出版から発売された小説。
全380ページの、書き下ろし作品。
本をめくると、この作品が文字だけの構成ではないということが分かります。
挿し絵とかではなく、かなりの頁がコミックのパートなのです。
漫画はほぼ読んで来なかった私ですが、バトルの臨場感が伝わってきて楽しかったです。わくわくしながら読みました。
それと、後半。
今の現状とリンクしているような気がしてなりません。
では、主な登場人物の紹介です。
岸 主人公。製菓会社勤務。
牧場 課長。
栩木 係長。
瑛士 係長の息子。
小沢ヒジリ ダンスグループのメンバー。
池ノ内征爾 都議会議員。
? 部長。
伊坂幸太郎「クジラアタマの王様」のあらすじ
主人公が勤務する製菓会社の商品(マシュマロ)に対するクレームの電話が入った。
不運が重なり、記者会見を開く事態にまで発展。
そこへ、ある男性が接触をはかって来た。
「夢を見ませんか」と。
彼と主人公、そしてダンスグループの人気メンバーとの間には、過去に共通点があったのだったー。
伊坂幸太郎「クジラアタマの王様」の感想
第1章は、主人公の岸が働く会社の新商品・マシュマロに寄せられたクレーム電話を巡るあれこれ。
1人の女性から寄せられた、「異物混入」のクレーム電話。
対応した社員の失礼な態度により、記者会見で謝罪をという大ごとに。
岸を含む真面目な社員たちは、その後始末に追われます。
クレーム対応の基本が理解しきれていない人や、身勝手な部長…。(この部長が、つわもの。)でもこういう上司、本当に存在したりするのが世の中です。
第2章では、政治家(都議会議員)が登場。
岸に「夢を見ませんか」(眠っているときにみるやつ)と問うて来るのです。
そして、夢の内容を語り出してーという流れなのですが、彼らは過去に、ある共通点があったのです。
このあたりから、ダンスグループの人気メンバー・小沢ヒジリが主要人物として出てくるのですが、こういうキラキラした人が作中に出てくると、全体が華やいだ感じになって良いですね◎
夢って大抵、ぼんやりしたものだけれど、この本の登場人物が見る夢は、そういう類のものではなくて。かなり重要な位置づけです。
よく夢を見る私としては、「こういうことが本当にあったら、楽しいかも」という思いで読みました。(この政治家と同じく、枕元にメモ帳を置いて夢日記を付けている…笑。)
第4章。岸夫妻は、40代半ばに。
岸夫人のお腹の中にいた子も、すっかり大きく成長しています。
それにしても、この章で描かれているのが今の世の中と酷似していて驚きます。
「新型」、「感染症」とかのワードが出てきます。
皆がマスクをし、犯人探しをしたり、罹患者を悪者扱いしたり。
コロナ禍と似た状況。
この本が出たのって、2019年なのに。
作家の想像力って、すごいですね。
コロナも、こんな終わりを迎えないかな。
タイトルの「クジラアタマ」って?という謎も解けました。
まとめ
ひたむきに頑張っている人が報われる話って、好きなんです。
世の中、そんなにうまくいかないことは分かっているし、理不尽なことの方が多いけれど。
せめて小説くらいは、現実逃避が出来るようなものを読みたいなと思うのです。
会社勤めをしたことがある人は、この本に出てくる「部長」みたいな立ち位置の人の顔が浮かぶんじゃないかな。
やっぱり、伊坂さんの作品って面白い!