真梨幸子「まりも日記」について
真梨幸子著「まりも日記」は、2021年6月に講談社から発売された小説。
全266ページ。
先月発売、真梨さんの新刊を読みましたのでご紹介。
初出は「ニャンニャンにゃんそろじー」、「小説現代」、「メフィスト」。
書下ろし作品も加えられての刊行。
猫ワールド全開の一冊。猫に対する愛がひしひしと感じられました。
作中には、複数の猫ちゃんたちが登場します。
まりもさんとモナミちゃんって、Eテレの「ネコメンタリー・猫も、杓子(しゃくし)も。」に出ていた姉妹猫ですよね?真梨さんが飼われている。
あんな形で小説に登場させてしまうなんて…すごい!
真梨幸子「まりも日記」の感想
一話目の「まりも日記」は、デビューして4年の作家が猫を飼うことにー
というストーリーです。
主人公は、作家としての収入では暮らしていけず、派遣の仕事やアルバイトをしながら生活をしている、という設定。
金欠状態でのペット飼育が、いかに危険かが分かりました。
ある程度は把握していたつもりでしたが、カリカリ(キャットフード)の値段や手術の費用に、おののきました。ビジネスとして成立する分野ですね。
第2話の「行旅死亡人~ラストインタビュー~」は、小説家の平間唯子宅にて編集者の園崎紀香が取材を、というところから始まる話。
聞き慣れないワード「行旅死亡人」をググってしまい、あれよあれよとこわいページにたどり着いてしまうという失態。知らなくてもいい世界というのがあるのですね。
期待通りのイヤな展開に加えまして、ラストも後味わるー・笑。
さて。
かわいい猫たちが登場する心温まるストーリー、ではありません。
だって、真梨さんの作品ですから。
読者もきっと、それは望んでいないはず。
読み終えた後の爽快な気持ちはありませんでした。少なくとも私は。
でも、面白かった!
第3話の「モーニング・ルーティーン」は、東京生まれ・東京育ちの主人公が、不便な田舎で暮らしはじめた、という話なのですが…すっかり騙されました!
(でも皆、「お義母さん」は苦手だと思う。)
続く第4話、「ある作家の備忘録」では担当編集者らとのやり取りが記されているのですが…。
作家の住むマンションの掲示板に貼られているという、とてつもない内容の貼り紙。
こ、これはね~。とても書けないような内容なので、ぜひ読んで確かめて下さい。
そして第5話で、「とても書けない内容」の貼り紙の真相が。
この章、思わず笑っちゃいましたよ。主人公の思考回路、おかしすぎますから!
「最終話」、追記と続きます。
短編集ではあるのですが、一冊読むとひとつの物語になる構成でした。
ブログにまとめるにあたって読み返してみると、「そういうことだったの!?」と膝を打つ箇所がいくつも。そして、もふもふの猫が可愛すぎ。
まとめ
猫好きにはたまらない一冊でした。
空間に(+金銭的にも)余裕があれば、ぜひ猫を飼いたい。
断然犬派だったのですが、いつしか「猫もかわいい」→「ペットを飼うなら猫だろう!」と。
うつろう気持ちに、少々戸惑っております・笑。
インスタグラムのおすすめ投稿に、猫関連ばかりが流れてくるのは何故だろう。(←すすめられるまま、ホイホイとのぞいているからだ。)
とはいえ、犬もかわいい。機会に恵まれれば飼いたいです。