まつりパンライフ

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奥田英朗「我が家の問題」短編集・あらすじと感想

奥田英朗著「我が家の問題」表紙

奥田英朗「我が家の問題」について

奥田英朗さんの「我が家の問題」は6本の短編が収録されており、2011年7月に集英社から発売された本。

 

2009年~2011年にかけて「小説すばる」に掲載。

出版にあたり、加筆訂正したもの。

 

2018年にテレビドラマ化。

 

奥田英朗さんの作品を初めて読みました。

きっかけとなったのは、先日、ラジオ番組内の「ブックソムリエ」で中瀬ゆかりさんが彼の作品をすすめていたことが大きいです。

 

本来なら、番組内で中瀬さんがおすすめしていた奥田英朗さんの新刊「罪の轍」を読むべきなのでしょうが、見当たらなかったもので…。

たまたま(?)棚にあった「我が家の問題」を読むことにしました。

 

中瀬さんが「彼の作品はどれも面白い」、みたいな事を言っていたので、読んでみようかなと思いました。

「罪の轍」はまたの機会に読むことに致しましょう。

 

奥田英朗「我が家の問題」見開きページ

 

奥田英朗「我が家の問題」短編集のあらすじと感想

6本の短編小説からなる本作品のそれぞれのあらすじ・感想をまとめていこうと思います。

「甘い生活?」

主人公は32歳の会社員で、二か月前に結婚。

専業主婦の妻は完璧に家事をこなすが、一人の時間・空間が持てない。

次第に夫は、そんな生活を窮屈に感じるようになる、というあらすじ。

 

これは、新婚生活に行き詰った人に読んで欲しいです・笑。

他人同士ですから、色々あります、はい。

女性特有の思いや感じ方が散りばめられていて、男性が読むと新たな発見があると思います。

 

「ハズバンド」

夫は仕事ができないらしい、と知ってしまう妻の悩ましい気持ちが描かれた話です。

 

これは正直、心が痛みました。妻は妊娠中という設定ですし。

夫の会社での一面は知らない方がいいのかもしれない、という感想を持ちました。

 

ただ、明るい方向に話が傾いていきます。

読了後は晴れやかな気持ちに◎

 

「絵里のエイプリル」

主人公は高校三年生の絵里。

両親の不仲を疑うようになり、もしかして離婚?と不安になる。

学校の友達に相談し、彼女たちなりに大人たちをリサーチ、というあらすじ。

 

これは高校三年生にはなかなかショッキングな事実だな、と。

一方で絵里の周囲には優しい大人たちがいて、心配してくれる友達がいて、幸せだなとも思いました。

頑張れ絵里!

 

奥田英朗・短編集の背表紙

 

「夫とUFO」

主人公は専業主婦の美奈子。

42歳の夫が突然「UFOを観た」と言い出し、怪しい団体のイベントに参加。

心配した妻が奔走する姿を描く、というあらすじ。

 

これ、読んでいて笑っちゃいました。

当事者は必死なんでしょうけど、面白すぎです。

でもホッコリできる、いい話…!

 

「里帰り」

主人公は、東京で暮らす30歳の会社員。

一つ年下の妻がいて、結婚後初めてそれぞれの実家に揃って里帰りすることになった、というあらすじ。

 

夫の実家が札幌で、妻の実家が名古屋という設定なので、文化の違いが浮き彫りになる様子がとても興味深かったです。

 

お互いを思いやる気持ちが大切!と再認識しました。

 

「妻とマラソン」

主人公は、46歳の売れっ子作家。

専業主婦の妻がランニングにはまり、東京マラソンに出場することになるというもの。

 

二人の間には中学生の双子の息子たちがおりまして、東京マラソンをきっかけに家族の間に違った風が吹くようになります。(←いい意味で)

 

個人的には、この話が一番好きです。

売れっ子作家の妻の気持ち・環境の変化が描かれており、そういうものかもな~と寂しさも感じますが、主人公の優しさにホロっと来ます。

 

「しめ」にふさわしいストーリーだな、最後にこれを持ってきたのはさすがだな、なんていう感想はちょっと偉そうですかね・笑。

 

最後に

この短編集、あっという間に読み切ることが出来ました。

読みやすくてわかりやすい文章だな、という感想です。

 

ただちょっと驚いたのが、読んでいるときに、「あれ?このストーリー、知ってる!」と思ったこと。

 

「小説すばる」に掲載されていたとのことでしたので、そちらで読んでいたのかな?(←たまに読むこともあるのです)と思いながら読み進めていきました。

しかし実際はそうではなくて、ドラマで観ていたんですね!笑。

 

BSプレミアムで水川あさみさんが演じていらっしゃいました。

観た方もいらっしゃるんじゃないかな。

 

こちらの原作も面白いので、興味がある方はぜひ読んでみて下さい。

ドラマを観るようにさらっと読めてクスッと笑えます。