湊かなえ「贖罪」について
湊かなえ著「贖罪」は、2012年6月に双葉文庫から発売された小説。
全316ページ。
文庫本は2009年6月、東京創元社より発売。
未読にもかかわらず、いつの間にか読んだ気になっていた本、てありませんか?
私は、湊かなえさんの本がそうなんです。
もちろん、何冊か読んだことはあるのですが…
ドラマや映画でみたのと、ごちゃ混ぜになってしまっているのだと思います。
今日紹介する「贖罪」も、パラパラとめくってみたところ「絶対読んでないやつだ」となりまして、手に取った次第。
面白くて、1日で読み終えてしまいました。
この作品、のめり込んでしまう面白さがありますね。
湊かなえ「贖罪」のあらすじ
15年前、ある田舎町で、当時小学4年生の女の子が殺害された。
殺されたのは、足立製作所という精密機器メーカーの新工場が建てられたことに伴い、東京からやってきた転校生、エミリだった。
5人でバレーボールをして遊んでいるところへ、見知らぬ男がやって来て「換気扇の点検の手伝いを」とエミリ誘い出して殺害。
4人の同級生たちが男を目撃していたにもかかわらず、犯人が特定されぬまま15年ー。
湊かなえ「贖罪」の感想
主な登場人物は、エミリちゃんの元同級生(紗英、真紀、晶子、由佳)たち。
元同級生たちが語り手となり、物語が進行。
現在、そして15年前の回想をおりまぜながら。
紗英は、各家のフランス人形を見せてもらいにまわる、という見学ツアーについての回想。
この遊び、お互いを知っている「狭い田舎町」だから出来ることであって、都会ではまず無理ですよね。
その後、彼女が大人になり結婚、そして思わぬ悲劇が。
続いては、小学校の教員になった真紀。
プールの授業中に起きた事故。あらぬ方向へと風向きが変わってしまう。
これも、エミリちゃんの事件が関係していないとは言い切れない。
事件の3年後、エミリちゃんの母は東京へ戻ることになったのですが、4人を集め「あんたたちを許さない。犯人を見つけられなければ償いをしなさい。できなければ復讐する。」と言い放ったのです。
こわいこわいこわい!
中学1年生の子供たちに向かってここまで言う母親。
ひとり娘を失ったことは気の毒だけれど、矛先が違うのでは。
そしてこの言葉が、同級生たちの「その後」に大きく影響を与えることになるのでした。
3人目の晶子は、エミリちゃんとの楽しい思い出を回想。
華やかな存在だったことがうかがい知れます。
しかし、晶子は後に…!
4人目は、出産間近の由佳。
複雑な状況の中で妊娠した彼女でしたが、ここにもかつての事件が関係していたのです。おそるべし。
そしてそして。「償い」の章を読んで愕然。
えー!なにそれ!!と、心の声がもれてしまうようなラスト。
文庫版には「贖罪」のドラマ化によせて、黒澤清氏の特別インタビューが掲載されています。
小学校4年生って、大人が思うよりも大人かもしれませんね。
その他 最近のあれこれ
母と、韓国ドラマについてあれこれ話すことが増えました。
私が韓ドラをみるきっかけを作ったのも、母なんですけれど。
親子で、好みのタイプが全く違うことがよく分かりました。
そんなものかな?