まつりパンライフ

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米澤穂信「本と鍵の季節」の感想

米澤穂信著・本と鍵の季節

 

米澤穂信「本と鍵の季節」について

2018年に発売された米澤穂信著「本と鍵の季節」を読み終えましたので、備忘録としてあらすじ・感想をまとめておきたいと思います。

 

6つの短編で、全編に登場する人物が主人公の堀川次郎と松倉詩門(まつくらしもん)。

2人は同じ高校の2年生で図書委員。

 

堀川はお人好しな一面もある印象だが、松倉は背が高く顔もいいために目立つ存在だが、いい感じで皮肉屋。

スポーツも勉強もできるが手先が不器用。

 

高校の図書室…あまり利用したことがありませんでした。

もう立ち入ることのできない空間だから余計にそう思うのでしょうが、もったいない話ですよね。

 

そして図書委員でもなかったため、彼らの仕事や心構えのようなものもよくわからないままでした。

利用者数の把握、返却箱から書架への戻し、図書室だよりの発行、督促状の作成、背ラベルの管理、本の補強・補修など、言われてみればなるほど確かにやるべきことはありますよね。

 

ミステリーなので伏線が張られているのですが、短編なのでその伏線がすぐに回収される点が、せっかちな私にとっては良かったかな、と。

最後まで楽しませてくれた1冊でした。

 

913のあらすじ・感想 

図書委員会を引退した3年生の浦上麻里が、堀川たちにダイヤル式の金庫を開けて欲しいと依頼する。

死んだ祖父が遺したものだというその金庫を開けるため、2人は浦上麻里の家へ向かう。

 

本の背ラベルに貼りつけてある分類記号から謎解きをしていくのが面白かった。

分類記号を暗号のように扱い、そこに隠されたメッセージを読み解くのは図書委員ならでは。

 

お茶の味、部屋を移動するさいの不自然な行動などが伏線に。

浦上麻里、その姉、母の3人の表情が変わる場面は空恐ろしさを感じた。

浦上麻里はいつも明るくて、堀川がひそかに憧れていた先輩というのがなんとも…。後味は良くなかったが、青春てこういうものだったなあと。

 

ロックオンロッカーのあらすじ・感想

紹介者を連れていくと料金が割引になるというので、堀川は松倉を誘い美容室へ。

店長の不自然な接客、過度な忠告、そして日曜の混雑状況から推理した事柄とは…。

 

これ以上書いてしまうとネタバレになってしまうのですが、「目撃者ではなく傍観者になった」松倉の推理が見事。これはスッキリ!

 

紹介者割引は今でも利用できますが、学生の頃は美容室の料金にも学割が適用されることもあったなあと懐かしくなりました。「パセリコーラ」が気になる・笑。

 

金曜に彼は何をしたのかのあらすじ・感想

1年生の図書委員、植田登には兄(昇)がおり、「不良くん」とあだ名をつけられる問題児。

昇がテスト問題を盗もうとしたのではないか、と疑いをかけられたため、弟の登は堀川たちに無実の証拠を見つけてほしいと言ってきた。

堀川たちは、昇が犯行現場にいなかったことを証明するべく動き出す。

 

松倉の博識さにより少しずつ推理が進んでいくのが爽快でした。

今の高校生は、スマホを駆使してすぐに調べものができるんですね。時代の流れを感じます。

 

不良君と呼ばれる昇が、本当は何をしていたのか、を知ると(実際には推察)胸の内も複雑なものがあったのだろうと察しがつきます。

これは疑いをかけられても本当のことは言いにくいでしょう…。

「緑の鳥」が鍵になる話で、なるほどそこに繋がるのか~と予想外の結末でした。

 

ない本のあらすじ・感想

3年生の長谷川という男子生徒が、図書室へ来た。

自殺した友人が死ぬ前に読んでいた本を探しているという。

 

堀川と松倉の2人が、長谷川が言う手掛かりから図書室の蔵書の中からその本を見つけ出そうとしていく話。

 

本についているバーコードや装幀を手掛かりに条件に合ったものを探していくのですが、これは本に精通している者でないと無理な作業ですね。

だからこそ導かれた結末…。寂しい話でした。

 

昔話を聞かせておくれよのあらすじ・感想

松倉が昔話をしようと提案し、宝探しというテーマでお互いの昔話をすることに。

 

堀川の小2の頃のプールでのエピソードは実に子供らしく、そういうこともあるよね、と思わせてくれる内容でした。

一方、松倉の話は「空き巣が逮捕」、「金の行方」など物騒なもので、それは6年前に父親の周りで起こったもの。

 

松倉が学費を滞納していた、というところから話がはじまるのですが、読み返してみるとこれは伏線で、彼が新聞を見つめ続けていたというのもそうでした。

 

なんとなく不自然で、宝探しの展開が気になる終わり方でした。

 

友よ知るなかれのあらすじ・感想

もやっとしたまま終わった、前の章の宝探しの続きです。

堀川は、松倉の父親の周りで起こったであろう事柄を調べ始め、そして「あり得ないこと」の謎を解明していきます。

 

松倉詩門、そして弟の礼門という名前から父親の名を推理し、見事に当ててしまうのは見事でしたね。

 

この2人だったからこそ辿り着いた結末ではありましたが、宝物がどうなったかについては含みを持たせる終わり方でした。

高2にしては大人びたところのある松倉でしたが、家庭環境を知り妙に納得しました。

青春だな~。って、雑な感想ですいません。