三浦しをん「あの家に暮らす四人の女」について
先日読んだ三浦しをんさんの「ののはな通信」が非常に良かったので、彼女の未読作品をあれこれ手に取っているところです。
今回は「あの家に暮らす四人の女」を読みましたので、登場人物・あらすじ・感想などをまとめたいと思います。
この作品がドラマ化されて、近々放送されるそうですね。
原作が面白かったので、ドラマも楽しみです。
中央公論新社から、2015年7月に発売された本です。
当時、現代版・細雪として随分話題になりましたよね。
面白そう!そのうち読もう…!なんて思っていたら、あっという間に4年です・笑。
「そのうち」は危険ですね。
こんなにいい作品を読み損ねるところでした。
気になっている本はすぐに読んだ方がいいですね。
この作品の初出は「婦人公論」で、2013年11月から2015年4月に掲載されたものだそう。
307ページの長編小説。
三浦しをん「あの家に暮らす四人の女」の登場人物とあらすじ
主な登場人物は以下の通りです。
- 牧野佐知 刺繍作家。自宅で教室を開いている。37歳。
- 牧野鶴代 佐知の母。60代後半。
- 谷山雪乃 物静かで毒舌。保険会社勤務。37歳。
- 上野多恵美 雪乃の会社の後輩。27歳。
- 山田一郎 牧野家の敷地内で暮らす80歳。血縁関係はなく、無口で几帳面。
- 本条宗一 多恵美のストーカー。元カレ。26歳。
あらすじを簡単に。
牧田家は杉並区に建つ古い洋館。
佐知と鶴代が暮らす家に雪乃と多恵美が加わり、共同生活を送ることになった四人の独身女性たち。
家事を分担制でこなしながらの穏やかな日常だが、ときおり小さな事件・トラブルも起こる。
寡黙な老人・山田と牧田家との関わりもユニーク。
父親の素性を知らぬまま大人になった佐知だが…というお話。
三浦しをん「あの家に暮らす四人の女」の感想
読み終えてすぐの感想は、「面白かった~!」というもの。
ミステリーを読んでいるときのはやる気持ちはないものの、佐知と鶴代の親子関係がほのぼのとしていて心地のいい話だなあ、と。
親子と言っても、女同士は難しいものなのです。
実家で暮らしていた頃は、私もよく母親と喧嘩しました。
離れて暮らした方が良い関係が築ける事もありますよね。
失礼、話がそれました。
鶴代は世間に出たことがないせいか勝手なところがあり、どこかずれているものの、お嬢さん気質なところがあって憎めません。
新宿伊勢丹に行く件はわかるわかる、あそこは楽しいよね!とクスッとしてしまいます。
勤め人の雪乃と多恵美が加わって1年という設定です。
多恵美のストーカー男が登場したりしますが、牧野家での生活は概ね楽しそうでホッとします。
牧田家の敷地内に建てられた「守衛小屋」に住む山田さん。
血の繋がりはない山田さんですが、キャラクターがいいですねえ。
高倉健さんが好きで、部屋にポスターを貼るほどに憧れている山田さん。
彼の責任感の強さ、律義さ、私は好きです。
さて、この物語は雪乃が「開かずの間」を開けてしまうところからますます面白くなってきます。
そして途中から、あなたが喋っちゃうのね!という何とも不思議な展開(?)が待っています。
少々戸惑いましたが、そういうのもアリかと。
三浦さんの作品には度々、何かに没頭する人物が登場します。
今回は佐知の刺繍がそうでした。
自分が触れて来なかった領域でも、面白く読ませてくれるのが三浦さんのすごいところ。
マニアックだな、と感じる一方で新しい世界が広がっていくようです。
文才はもちろんのこと、知識がなければあそこまで描けないと思います。
綿密な取材をされたのでしょうね。
本作を読み終えて改めて装丁を見ると、カラスの羽が描かれている意味が分かりました。
なぜにカラス?と思ったのですが、なるほど。
「善福丸」として、しっかり登場します。
最後に
冒頭にも書きましたが、本作を読み終えた頃に「あの家に暮らす四人の女・ドラマ化」のニュースを耳にしました。
まだ放送されていないのでドラマの感想は言えませんが、原作はとても面白い仕上がりになっています。
個人的には、ドラマや映画などの映像作品よりも書籍などの文字で楽しむ方が好きなので、ドラマを観た方にもぜひ読んでみて欲しいなと思います。
この本を手に取るきっかけとなった「ののはな通信」のあらすじ・感想等は以下の記事を参考にしてみて下さい。