まつりパンライフ

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真梨幸子「聖女か悪女」のあらすじと感想

真梨幸子「聖女か悪女」の背表紙

 

真梨幸子「聖女か悪女」について

真梨幸子著「聖女か悪女」は2020年11月に小学館から発売された小説。

全286ページ。

 

去年の年末に出た本です。

この本、後半の残忍さが物凄い。

真梨さんの中でも、ここまでグロテスクな作品はなかったのでは?と思うほど。

 

巻末の参考文献に、あの「マルキ・ド・サド」の著作があることを考慮すれば、納得ではあるのですが。

 

あらすじ・感想の前に、まずは主な登場人物の紹介から。

 

月村樹里亜 有名ブロガー。29歳。

麻乃紀和 心理カウンセラー。

 

神奈乙音 女優。

松野洋平 樹里亜の夫。芸人。

荒屋敷勉 IT社長。

桑原慎二 マンションの管理人。53歳。

 

富岡比呂美 テレビ局のプロデューサー。

西木健一 テレビ局のアシスタントプロデューサー。

飯干道也 元プロデューサー。

加瀬淑子 占い師。

 

真梨幸子「聖女か悪女」のあらすじ

有名ブロガーの樹里亜が、脳梗塞で倒れた。

植物状態が続いている彼女のもとへ、心理カウンセラーの紀和が見舞いに訪れる。

 

樹里亜の周辺を調べ始めた紀和は、2002年に小学生の少女たちが監禁された事件・通称「モンキャット事件」に関わりがあるという情報を突き止めた。

 

一方、四谷に高級タワーマンションでは身元不明の八体の死体が見つかった。

事情を知っているとみられる、管理人の男性が飛び降りたーというあらすじ。

 

真梨幸子「聖女か悪女」の感想

第一章から、憎しみに満ちた内容が延々と綴られています。

復讐に燃える女の執念が、これでもかというほどに描かれていて、ものすごいエネルギーを感じました。

 

「オザワ」なる人物の正体に踊らされた私。

果たして「オザワ」とは何者?

 

その後も新たな人物が次から次へと登場するため、次第に頭がこんがらがって来ました。

細かくメモを取りながら、えーっと、これは芸名よね?本名なんだっけ?とか。

 

あの人とあの人が繋がっていて、関係性は?等々、整理しながら読み進めました。

しかしながらさすがのテンポ感で、ラストまで一気読み。

 

関係性は込み入っていますが、文章はとても読みやすいです。

そして、エグイ表現のオンパレード!

 

真梨幸子著「聖女か悪女」の表紙

 

こちらの表紙の装丁が、物語っています。

ギョッとします。書店でも異彩を放つデザインでした。

 

脳内で地獄絵図が繰り広げられるほど、容赦のない復讐方法。

そんなこんなで晴れやかな気分には到底なれませんが、それが持ち味となり、読むのをやめられない私のような読者がたくさんいるのではないかと思います。

 

タワーマンションの事件のからくりには、戦慄を覚えました。

真相を知って黒幕が明らかになるも、嫌な感情しか生まれません。

あなただったのね。すっかり騙されました。

 

冒頭「〇章」での結婚パーティー。

全てが明らかになった後に読み返すと、震えるほどコワいです。

 

最後に

里親の制度が出てきて、読みながら幾ばくかの知識を得られました。

作中の「町田の聖夫婦」のようなことは断じてない、と信じたい…。

 

とはいえ、こういう事もないとは言えないよなあ、と良からぬ妄想をしてみたり。

 

よく練られた面白いストーリーですので、ぜひ。

 

食欲旺盛な女性が出てくるのですが、その食い意地には笑ってしまいました。

そして中盤の「ハゲネズミ」は鳥肌もの。ほんっとうに気持ち悪い…。

 

こういった、極端すぎる登場人物も真梨さんの作品の魅力だと思っています。