まつりパンライフ

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真梨幸子「私が失敗した理由は」のあらすじと感想

真梨幸子「私が失敗した理由は」の背表紙

真梨幸子「私が失敗した理由は」の登場人物

真梨幸子著「私が失敗した理由は」は、2016年7月に講談社から発売されたミステリー小説。

全349ページ。

 

「小説現代」(2015年5月号~2016年3月号)に掲載されたものに大幅加筆した、とのことです。

 

序章から始まる、この物語。

寝る前にちょっとだけ、と読み始めたのですが…序章の部分から面白く、それでそれで?と前のめりに。

つい続きが気になって、あと少しだけ読もう、が夜中まで続いてしまうという結果を招きました。

 

では、主な登場人物の紹介です。

 

落合美緒 スーパーのパート。元キャリアウーマン。

落合海斗 美緒の夫。

村上英里子 美緒のパート仲間。元高校教師。読書家。

宮里京子 スーパーの副店長代理。

市原俊恵 美緒のパート仲間。元秘書。

 

土谷謙也 美緒の元彼。編集者。

嵯峨野摩耶 謙也の姉。

土谷香乃子 謙也の妹。

国枝旭 編集者。謙也の先輩。

駒田織絵 出版社のアルバイト。

 

桜並木スミレ かつてのベストセラー作家。

美華子 スミレの姪。

塚本絵都子 35歳のシングルマザー。

 

真梨幸子「私が失敗した理由は」の中表紙

 

真梨幸子「私が失敗した理由は」のあらすじ

失敗とは、成功の反対ー。

 

同僚が殺人の罪に問われている、というところからある企画を思いついた落合美緒。

彼女は、編集者である元彼・謙也にその企画を持ち込むのだがー。

 

実際の失敗談とその理由を、様々な語り手たちの視点から描かれているミステリー。

 

真梨幸子「私が失敗した理由は」の感想

ケース1は、マイホーム

住宅に関しての失敗は大ごとですし、身近な問題だけに、ふむふむと興味深く読みました。

土地の地名・住宅ローンの審査に関する雑学も盛り込まれていて、無知な私はへぇー!の連続でした。それでまあ…さっそく殺人がおきます。しかも大量殺人。

 

この章の語り手、後半は完全に躁状態よね。

 

ケース2は、独立

何かしらの組織に属している人ならば「独立」を考えたりするのでしょうか。

 

美緒が元彼の謙也に「私が失敗した理由は」という本を出さないか、と持ちかけます。そして謙也は出版社を退職し、独立。

かつての売れっ子作家から、失敗の原因についての話を聴くことにしたのだがー。

 

会社を作るって、ものすごいリスクがあるんですね。

 

ケース3は、選挙

選挙に関しては投票する立場でしか関わりがないだろうと思うのですが、

いざ出馬するとなると選挙費用ってものすごく高額。ですから、まあ予想通りと言いますか、落選したらその後は悲惨ですよね。

 

真梨幸子「私が失敗した理由は」目次

 

ケース4は、結婚

結婚で失敗した、という話は耳にすることが多いです。

家庭に収まることを本人も周りも求めてない場合もありますよね。

 

本作での失敗談は、流石にアレですけどね…。

「運命の出会い」の後に、まさかあんな悲劇が待っているとは。

 

ケース5は、家族

当然ながら、結婚すると相手の家族もまるっと身内になるわけでして。

これは正直、難しいですよね…?

 

しかし。

血のつながった実の家族でも、憎悪が芽生えることがある、という事例が紹介されておりますー。

 

ケース5は、ベストセラー

ベストセラー倒産、なんてあるんですね。初めて目にしました。

気になる方は、本書を読んでみて下さい。なるほど!となるはず。

 

真梨さんのサービス精神だとは思うのですが、自虐がブラックすぎて笑えない、という一幕もありました。

 

美緒は自身の「ときめき」を信じていて、「ときめき」に従って生きてきたのです。

謙也も企画や女性に「ときめき」を感じます。

 

ときめき」という言葉、流行りましたよね。

ひとつのワードを小説に散りばめてストーリーにしてしまうとは、やっぱり作家さんはすごい。

 

最後に

本書のラスト、思わぬ方向へと向かうのです。

読んだ本のレビュー(主に悪口)をネットにあげている方には、ヒヤッとする結末だったのではないでしょうか。

 

私の場合、読んで面白かった本しか紹介しないと決めているので大丈夫だとは思うのですが…。

自分にはちょっと合わないなあ、と思った作品は記事にしていません。

 

実を言うと、途中までしか読まずに本棚の奥に追いやってしまっている本もかなりあるんですけどね。