真梨幸子「向こう側の、ヨーコ」の登場人物
真梨幸子著「向こう側の、ヨーコ」は2018年4月に光文社から発売された小説。
初出は「小説宝石」。掲載は2017年1月号~10月号。
単行本化にあたり加筆修正したとのこと。
全346ページ。
朝晩、肌寒くなってきました。
就寝時、タオルケット1枚では寒くなってきたので肌掛けを引っ張り出してきました。窓を開けると金木犀のいい香りがしてきて、思わず深呼吸。
さて、今日紹介する作品も真梨幸子さんの本。
この小説は面白い構成になっていて、AとB、2つの世界が描かれています。
どちらの主人公も「陽子」なので少々わかりにくい…かとも思いましたが、本の端に「A」とか「B」とかが記載されています。(すごく良いアイディア◎)
今読んでいる場面はAなの?Bなの?と迷うことなく読み進められます。
では、主な登場人物の紹介です。
A
陽子 小説家。40代、独身。
大井純子 TVプロデューサー。陽子の中学のクラスメイト。
吉澤久美子 ファイナンシャルプランナー。仕切り屋。
笹谷真由美 派遣社員。小言ばかり言う。
喜多見裕子 美人。元ホステス。
亀井仁志 フリーの記者。久美子の彼。
B
陽子 パートタイマーの主婦。
翔 陽子の息子。中学生。
笹谷真由美 陽子と同じ職場で働く派遣社員。
喜多見裕子 金持ち。美人。「六本木サロン」を主催。
金城賢作 六本木サロンに出入りする男。
中河美沙緒 陽子と同じマンションに住む専業主婦。トイプードルを飼っている。
真梨幸子「向こう側の、ヨーコ」のあらすじ
「A」の陽子は、仲間たち5人と未婚の女子会を定期的に開いていた。
陽子は、よく自分の夢をみるという。
パラレルワールド、つまりもう一つの世界を生きているヨーコが出てくる夢だ。
「B」の陽子は主婦。
パートをしながら、夫と息子の世話にあけくれる。
2人の陽子が交わることはー。
彼女たちを取り巻く、個性的な面々も登場。
真梨幸子「向こう側の、ヨーコ」の感想
陽子たちが生まれた「1974年生まれの女のコの名前ランキング」、という冒頭のクイズ問題。
へぇ、そうなんだ。なんか納得かも、という感じでさっそく引き込まれました。
真梨さんの作品を読んでいると、ちょっとだけ興味を持つ、みたいなところで掴まれることが多いように感じます。
さて、独身で小説家として生きる陽子と、家庭を持ち、家族と暮らす陽子。
どちらの立場にも悩みや葛藤があり、生きていくというのは大変だとつくづく感じます。
結局は自分の心がけ次第、というか、他人を妬んだりせず選んだ生き方を全うするしかないのだなとも思いました。
Aの陽子のように、同性のグループ何人かで集まるというのが、どうも苦手…。
作中のようなドロドロ劇に巻き込まれたことはありませんが(あったら怖い)、まあ加わらなければ回避できるとも言えます・笑。
「向こう側の、ヨーコ」の登場人物は女性中心。
遠慮はないし、言いたい放題、嫉妬の嵐。
そして、殺人がおきてしまいます。
犯人は以外な人物でしたが、結末がもやもや。
え…!えぇ~!!てな具合でした。
これぞイヤミス、といったところでしょうか。
さすが真梨さん。期待を裏切らない、いや~な読後感&とても面白かった。
まとめ
今回も、見事に騙されました。
というか毎度毎度私が勝手に思い込んでいるだけなのですが。
ネタバレになるのであまり言えませんが、パラレルワールドの概念、好きだなあ。
もしあのとき、あちら側の選択をしていたら、なんて妄想を始めてしまうと大変。
しばらく戻って来られません。
秋は物思いにふけってしまうので、程々にしておかねば。