真梨幸子「6月31日の同窓会」の登場人物
真梨幸子著「6月31日の同窓会」は2016年2月に実業之日本社から発売された小説。
全323ページ。
「月刊ジェイ・ノベル」に掲載された作品に書き下ろしを加え、加筆修正を行ったとのこと。
本(単行本バージョン)が届いてびっくり。
装丁が、ね。
ちょっとコワいので裏返してみるものの、裏面も女性たちの顔なので、どうやっても誰かと目があう。(ような気がする)
では、主な登場人物の紹介です。
柏木陽奈子 人気漫画家。89期生。
小林友紀 柏木陽奈子のアシスタント。シングルマザー。
大崎多香美 実業家と結婚。89期生。
松川凛子 弁護士。77期生。
海藤 事務スタッフ。
土門公美子 多香美のはとこ。
福井結衣子 新興企業勤務。89期生。
猪口寧々 結衣子の親友。89期生。
矢板雪乃 家事手伝い。89期生。
合田満 ヘアメイク。
真梨幸子「6月31日の同窓会」のあらすじ
漫画家・柏木陽奈子のもとへ、「6月31日の同窓会」の案内状が届く。
その後、陽奈子は歩道橋の階段から何者かに突き落とされる。
彼女は名門・蘭聖学園の卒業生だが、次々と同校出身者が死亡するという連鎖が続く。
弁護士の松川凛子は、被害者たちのもとへ「6月31日の同窓会」の案内状が届いていたことに気が付く。
やがて彼女にも案内状が届く。凛子も蘭聖学園の卒業生。
存在しない日付である「6月31日」の同窓会の案内状とはー?
真梨幸子「6月31日の同窓会」の感想
冒頭で蘭聖学園の沿革・校訓と、かつて起こった町の合併問題が記されています。
蘭聖学園は、年によっては入学者を募集することもある、としれっと書いてあるのですが、真の目的が明らかになる箇所が特に印象的でした。
外部入試者に、そんな謂われがあったとは。
町の合併問題についても、なんのことじゃい?と素通りしていたのですが、キーワードに注目して読み進めていくと、「あっ…!もしかしてこれって、この人の事…?」てな具合です。
少しずつ明らかになる謎は、パズルのピースが徐々にはまっていくような感覚に似ているような気がします。(ジグソーパズルって、やりだすと夢中になりすぎるので自ら禁止令を出しています。)
もともと蘭聖学園がとある施設だったとか、設定が面白いと思いました。
綽名が次々に出てくのも楽しめた要因の一つでした。
ネーミングセンスがあるな、というものから悪意に満ちたものまで。
陰で呼んでいるつもりの綽名でも、呼ばれている当事者って意外と気付いているものかもしれません。
とある毒物が登場します。
作中では殺害に使われるわけなのですが、描写があまりに毒々しくて…。
本当にありうる話なのだろうか?と、つい余計なことを考えてしまいまして。
いつもの事ですが、読書を中断してちょっと検索。するとどうでしょう。
誤って塗布してしまった事件(事故?)が起きているんです。こ、こわい。
もちろん、一般には手に入れることができないブツです。
まさか「永遠の友情の印」がアレだったとは…恐ろしすぎます。
最後に
この人に限って、そんなことをするはずがないと思ったのですが。
…やられました。
第1話~9話+α、という構成になっているこの本。
各話にタイトルがついているのですが、これも油断ならぬ存在でした。
登場人物、それぞれの「狙い」が過激です。
デマを流して、他人を陥れてまで物事を思い通りに進めるだとか。
一番ギョッとしたのは、「同窓会のご馳走は、不参加者の噂話である」という箇所。
母校の同窓会に一度も参加したことがない私としては、非常にインパクトのある文でした。
地元が遠いので、同窓会になかなか参加できないのが残念。
女子高ではなかったので、この作品に出てくるほどのあからさまなマウンティングはないのかな(と思いたい)。
今回も、モヤモヤした気持ちのまま読み終えました。
再読して、ああそういうことだったのか!と納得。面白かったなあ。