まつりパンライフ

家で焼いたパンと読んだ本の備忘録、愛用のキッチングッズの紹介をしています

真梨幸子「殺人鬼フジコの衝動」のあらすじと感想

真梨幸子「殺人鬼フジコの衝動」文庫版・表紙

真梨幸子「殺人鬼フジコの衝動」の登場人物

真梨幸子著「殺人鬼フジコの衝動」は2008年12月に徳間書店から発売された小説。

※2011年5月に文庫版が発売。全429ページ。

 

少しずつ秋の気配が感じられるようになってきました。

今日は、読書の秋におすすめの一冊を紹介したいと思います。

 

「殺人鬼フジコの衝動」は真梨さんのブレイクのきっかけになったという、ロングセラー作品です。

 

確かに面白かった!

興味を持った方は読んでみて下さい。

 

では、あらすじと感想の前に主な登場人物の紹介です。

 

フジコ 主人公。本名、森沢藤子。両親と妹が殺され、叔母に引き取られる。

茂子 フジコの叔母。お人よし。宗教を信仰している。

 

クーコ フジコの同級生。

みさりん フジコの同級生。美人でおしゃれ。

コサカさん フジコの同級生。成績優秀。クラス委員長。

 

辻山裕也 レコード店で知り合い、恋人関係に。

大月杏奈 高校時代のバイト仲間。

 

小野田静香 生命保険会社の営業主任。

早季子 フジコの娘。

英樹 早季子の父。

 

真梨幸子「殺人鬼フジコの衝動」のあらすじ

両親と妹と4人で暮らしていたフジコ。

彼女が小5のとき、何者かによって両親と妹が殺される。

その後フジコは、叔母に引き取られて転校。

 

「大人って、ちょろい」

「人生は、薔薇色のお菓子のよう」と繰り返すフジコ。

 

15人以上を惨殺した殺人鬼・フジコ。

そのフジコの一生を描いた物語。

 

フジコを伝説の殺人鬼にしたのはー?

 

真梨幸子「殺人鬼フジコの衝動」の感想

なんともインパクトのあるタイトルです。

そのタイトル通り、主人公は殺人鬼のフジコ。

 

ほとんどフジコの視点で描かれているので回顧録のようにも思えるのですが、そうではないのです。

はしがきに「ある女性」が書いた、とありますから。

 

幼い頃のフジコは、親からの虐待・ネグレクトに悩みます。妹と共に。

同級生からの執拗な嫌がらせにもあいます。これがまた、「どうかしているレベル」の嫌がらせでして、目を背けたくなるほどのエグさ。

 

その後、一家惨殺の生き残りとして叔母に引き取られ、転校生として新しい環境になじんでいきます。

 

哀れな少女という立場のフジコは、その状況をうまく利用して暮らしていくのですが、殺意の点灯という恐ろしい事態に飲み込まれ、次々と人を殺めては証拠隠滅をはかります。

 

殺意を抱く理由は様々です。

嫉妬だったり、嫌悪だったりー。

 

その「衝動」は止まりません。

 

真梨幸子著「殺人鬼フジコの衝動」文庫版・背表紙

 

自分には経験がないのでよく分かりませんが、転校生の立ち位置というのは難しいものですね。

 

多感な時期に、知らない環境にポンと放り込まれるわけですから苦悩も多いでしょう。

最初につまづくと、取り返しのつかない事にもなりかねないのだろうと推察できます。

 

この頃のフジコは、うまく立ち回っていたと思います。

 

しかしその後、彼女には歪んだ感情が芽生えます。

そして事あるごとに「絶対に母親のようにはなりたくない」、と言うフジコでしたが…。

 

最後の最後まで、気を抜けない、と言うよりも最後(結末)がスゴい。

わああお!なラスト。

 

練りに練ってある、とても面白い作品でした。

 

まとめ

最近の本ばかり手にとってしまいがちでしたが、いやいや、昔の作品を読まないでいるのはもったいない。

 

イヤミスと呼ばれるジャンルですので、確かに好みはわかれるのでしょうが、私のようにハマると大変。

コワイもの見たさ、というのでしょうか。もはや中毒のようになります。

 

しばらくは、真梨さんの過去の作品のレビューが続きます。