まつりパンライフ

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宮部みゆき「龍は眠る」のあらすじと感想

宮部みゆき著「龍は眠る」表紙

 

宮部みゆき「龍は眠る」の登場人物

宮部みゆき著「龍は眠る」は、1995年2月に新潮文庫から発売された長編のミステリー小説

※1991年2月に、出版芸術社より刊行された作品。

 

全537ページ。

 

再読です。

さて。初めて「龍は眠る」を読んだのはいつだったかな?と考えてみたのですが…

おそらく、15年くらい前のことになるのではないかと。(もうそんなに時が流れたのかと、少々戸惑っております。)

 

私の住む町では今、桜が満開です。

ベランダに、桜の花びらが飛んでくることも。

一番好きなのは、葉桜だったりするんですけどね。

 

では、主な登場人物の紹介から。

 

高坂昭吾 雑誌「アロー」の記者。

稲村慎司 不思議な力をもつ高校1年生。

織田直也 慎司の友人。20歳。

 

稲村徳雄 慎司の父。

水野佳菜子 高坂の職場のアルバイト。20歳。

生駒悟郎 高坂の同僚。47歳。

三村七恵 直也の友人。

 

川崎小枝子 高坂の元婚約者。旧姓・相馬。

川崎昭男 小枝子の夫。

三宅令子 昭男の秘書。

 

以下、あらすじと感想です。

 

宮部みゆき「龍は眠る」のあらすじ

台風接近中の夜、雑誌記者の高坂は車を運転していた。

そこへ、自転車がパンクしたと助けを求めてきた少年(稲村慎司)がいた。

 

2人は暴風雨の中、マンホールの蓋が開いている現場を目にする。

子供が、落ちたかもしれないー

 

マンホールの蓋が開いていたのは、何故か。

 

慎司は「超常能力者(サイキック)」で、人の心を読むことが出来るのだという。

過去、高坂の周辺で起こったことも次々と言い当てる。

そして、事故のあらましも語りだすーというあらすじです。

 

宮部みゆき「龍は眠る」の感想

目次の前の部分に頁が設けられていて、その中に「決闘の記録」であるとの文言がありました。

そして「彼の死後」なんてワードもあるため、人が亡くなる場面もあるのだな、とある程度心がまえが出来ました。

 

物語の主人公は、語り手の高坂ではなくサイキック(=超能力者)の少年(たち)です。

 

高坂は慎司から「超能力者」である旨の告白を受けますが、易々とは信じません。

もどかしくもありましたが、だからこそ実直な感じも。

16歳の少年・慎司と真摯に向き合っている姿勢は、読んでいて心地がよかったです。

 

高坂が前半から「超能力」を全面的に受け入れてしまっていたとしたら、ここまで読みごたえのある話には仕上がっていなかったとも思います。

何かトリックがあるのでは?担がれているのでは?

にわかには信じられない力です。

 

宮部みゆき著「龍は眠る」目次

 

マンホールの蓋の件は、早い段階であらましが明らかになります。

「やっぱり」という気持ちもありましたが、その先の展開には戸惑いを覚えました。

 

一方、高坂宛に届く差出人がない封筒の謎は、なかなか解けません。

これは、後に起こる事件と関わってくるのですが…。

 

仮に慎司のような能力が存在するとしたら、生きづらいだろうと思います。

他の人には見えないものが見えてしまう、聞こえてしまうというのは疲れるでしょうし。解決方法があるわけでもなく、葛藤するばかりではないかな、と。

 

後半の事件は一件落着とはいかないし、全体を通してはシリアスなのですが、高坂の恋愛模様があったり、憎めないキャラクターの人物が出てきたりで、重くなりすぎない仕上がりになっていたのが良かったです◎

 

まとめ

再び読んでみて、超能力が出てくる話、ということ以外はすっかり忘れておりました。自分の記憶力に、がっくり。

当時は、読む冊数を増やそうとしていたところがありますので(←まだ若かった)仕方がないのかもしれませんが。

 

宮部さんの著作には、たびたびこうした不思議な力を持つ人物が出てきます。

ともすれば胡散くさくなってしまいそうなものですが、決してそうはならないミステリーに仕上がっているのが凄いと思います。

 

それにしても、悪意なく行った行動が、思わぬ不幸を招いてしまうことの恐ろしさ…。