まつりパンライフ

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奥田英朗「サウスバウンド」のあらすじと感想

奥田英朗「サウスバウンド」の登場人物

奥田英朗著「サウスバウンド」は、2005年6月に角川書店から発売された小説。

※現在は、文庫本が講談社文庫から発売されています。全672ページ。

 

ちょっと前の奥田さんの作品。

読んでみてください、と話している方がいたので、さっそく文庫版を入手して読んでみました。

その方いわく「お父さんの台詞に注目」とのことでした。

 

では、主な登場人物の紹介です。

 

上原二郎 小学6年生。上原家の長男。

上原一郎 二郎の父。

上原さくら 二郎の母。

上原洋子 上原家の長女。グラフィックデザイナー。

上原桃子 上原家の次女。小学4年生。

 

楠田淳 二郎のクラスメート(以下同)。クリーニング屋の息子。

向井 印鑑屋の息子。

間宮リンゾウ 医者の息子。

佐々木かおり サッサ。

長谷川紀子 ハッセ。

黒木 不良。

南愛子 二郎の担任の先生。

仲村アキラ 一郎の後輩。

 

白井七恵 沖縄の小学生。帰国子女。

ベニー 沖縄で暮らすバックパッカー。カナダ人。

新垣 派出所の巡査。

 

奥田英朗「サウスバウンド」のあらすじ

上原二郎は、都内の小学校に通う6年生。

家族は、両親と姉と妹の5人。母は喫茶店をしている。

 

父は自称「フリーライター」で、185cmの大男。

学校に行かなくていい、税金は払わないなどと言うので、周囲とは揉めごとがたえない。

彼の理想は、家族での自給自足生活。

あるとき、南の島へ移住する話が現実となりー。

 

奥田英朗「サウスバウンド」の感想

主人公が小学生の男の子の物語か…どうかな、自分にハマるかなあ?と読み始めたのですが、とっても面白かったのです。

小学生男子の目線からみた大人たち、というのが良かったです。

元過激派の父を持つ息子なのですが、彼は常識的な考えを持つ、ごくごく普通の小学生。

 

前半では、都内の小学校に通う二郎とその周辺の人々の日常が描かれています。

やけに大人びているクラスメートがいたり、不良グループとのいざこざがあったり、学校の主張と一郎の考えがあわずに衝突したり。

 

そんな日常に、突如あらわれたアキラおじさん

父・一郎の大学の後輩にあたるという男なのですが、上原家に居候することになります。この人、正体不明の謎多き人。やがて事が起きるのですが、この人物のひょうひょうとした佇まいが特に印象に残りました。

 

さて、いよいよ後半では南の島での暮らしが始まります。

子供たちにとっては東京の級友たちとの別れは辛かっただろうけれど、新たな出会いも訪れます。

 

井戸から水を汲んだり、発電機を利用したりと野性的な生活をすることになった一家。大変なはずなのに、どこか楽し気。

島で暮らす人々の親切さや助け合いの精神に癒される一方、リゾート開発の話が持ちあがり、再び一波乱。

東京に残っていた姉の洋子も途中から家族に合流し、物語は終盤へ。

 

小学6年生ともなると、大人が思っているよりもしっかり考えているんだなと感じました。

 

まとめ

おススメしてくれた人が言うように、上原一郎の主張が刺さる。

乱暴なところはあるものの、尤もだなあという箇所もあったり。

一郎のように生命力が強いタイプの男性に惚れるさくらの気持ち、分かります。経済的には苦労するだろうけれど、一緒にいて飽きないだろうなあ。

 

上原家、いい家族です。

子供が読んでも大人が読んでも、楽しい本だと思います。