真梨幸子「三匹の子豚」についてと登場人物
真梨幸子さんの「三匹の子豚」は、2019年8月に講談社から発売された小説。
「小説現代」(2018年4月号・7月号・9月号)の連載に加筆・修正したもの。
全322ページ。
今回も、あらすじと感想を簡単にまとめておきたいと思います。
その前に、主な登場人物の紹介です。
- 斉川亜樹 シナリオライター。39歳。
- 斉川一美 亜樹の母。「長女」
- 石坂二葉 一美の妹。若年性の認知症を患う「次女」
- 石坂布由 二葉の娘。パパ活を行う派遣社員。
- 赤松美代子 一美、二葉の妹。55歳、「三女」
- 赤松波留 美代子の娘。28歳。
- 北上史朗 ドラマ制作会社の取締役。60歳。(元テレビプロデューサー)
- 平野克子 新聞記者
- 菊村藍子 NPO法人・ありがとうの里の女性
今回の真梨さんの作品もイヤミスっぷりが炸裂で、後味が悪すぎです。
かわいらしくて素敵な装丁なのですが、大きく裏切られる内容となっておりました。
真梨幸子「三匹の子豚」のあらすじ
シナリオライター・斉川亜樹の作品「三匹の子豚」が朝ドラに使われることになった。
そんな折、亜樹のもとに市役所から封書が届く。
生活保護を申請しているという叔母・赤松美代子を扶養できるか回答して欲しいとの内容だった。
亜樹は、会ったこともなければ存在すら知らなかった叔母の存在に戸惑う。
タイミングよく、菊村藍子という女性から赤松美代子の件で会いたいとの電話がある。
以上があらすじです。
三匹の子豚の童話のパロディ(?)がところどころに差し込まれています。
一番上の子豚は「ひーちゃん」、二番目の子豚は「ふーちゃん」、末っ子の子豚は「みっちゃん」…。
さて、黒幕(オオカミ)は?
真梨幸子「三匹の子豚」の感想
うぅ~、これがイヤミスってやつか!
と唸ってしまうほどの嫌な物語でした・笑。
まず、登場人物に癖のある人が多すぎです。
傲慢だし身勝手だし、近くにいたら避けたいような。
そして、人がすぐに死ぬんです。
あの人もこの人も…え?死んじゃったの??と。
語り手がころころ変わるのは新鮮でした。
これは誰の視点から描かれているのだろう?と混乱してしまいました。
すぐにわかりますが。
ですので、ある意味頭の体操になりそう・笑。
文体は読みやすいため、2日ほどで読み終えることができました。
むしろ、一気に読んだ方がいいと思いました。
時系列を考えたり登場人物を理解するためにも、間を置かずに読むことをおすすめします。
最後の方(302ページ)に、相関図が出てきます。
なるほど確かに、こうして図にしてもらえると分かりやすいですね。
私の場合は登場人物の整理が頭の中で追い付かないので、普段から気付いたことや鍵となりそうな事項をメモしながら読み進めるのですが、改めて作中の相関図を眺めても「ややこしいな~」という感想を持ちました。
と同時に、あまりにも現実離れした話でもあるな、という感想も。
冒頭の、とある事件の真相も明らかになるのですが、これがこうつながるのか!と少しすっきりした感も味わえました。
しかし、考えれば考えるほど嫌な気持ちになる物語でした。
最後に
今回この作品を読んでの発見は、イヤミスってちょっと中毒性があるのかも!?という事。
続けて読むのはちょっとためらってしまいますが、少し時間をおくとまた読んでみようかなと手を伸ばしてしまいそうな予感がするのです。
先日紹介した真梨幸子さんの話題作「初恋さがし」も、なかなか衝撃的でした。