まつりパンライフ

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吉田修一「続 横道世之介」のあらすじと感想

吉田修一著「続横道世之介」背表紙

 

吉田修一「続 横道世之介」の登場人物

吉田修一著「続 横道世之介」は、2019年2月に中央公論新社から発売された小説。

初出は「小説BOC」2016年春号~2018年夏号。

全409ページ。

 

先日紹介した「横道世之介」の続編です。

主人公・世之介の記憶が薄れないうちに、読みました。

 

では、まずは主な登場人物の紹介から。

 

横道世之介 主人公。24歳。

小諸大輔 証券会社勤務。世之介の大学の同級生。通称・コモロン。

浜本 居酒屋の店員。鮨職人を目指す。

坂内憲三 強面の理容師。

 

日吉桜子 シングルマザー。

日吉亮太 桜子の息子。3歳。

日吉隼人 桜子の兄。車の整備工員。

日吉重夫 桜子の父。車の整備工場を営む。

 

www.matsuripan.com

 

前作についてまとめた記事です。

 

吉田修一「続 横道世之介」のあらすじ

1年留学したものの大学を卒業した横道世之介は、就職せず、バイトとパチンコで生計を立てていた。

 

遊び仲間は、同じく留年組のコモロン(小諸大輔)。

彼は、証券会社に就職したのだがー。

 

世之介は、パチンコ屋で出会った鮨職人を目指す女性(浜ちゃん)、コモロンがきっかけとなって知り合ったシングルマザー(桜子)、その家族らと交流を深めていく。

 

吉田修一「続 横道世之介」の感想

大学を卒業した世之介、24歳の日々が描かれていました。

18歳で上京した当時、暮らしていたのは東久留米市でした。

現在暮らしているのは、池袋のマンション。

 

読み始めてすぐ、びっくり!

まさか彼が、池袋でパチンコ三昧の日々を送っているとは想像もしていませんでした。バブル期の売り手市場が終わったタイミングでの、就職活動だったよう。

かといって悲観的にならず、それなりに楽しんでいる様子です。

 

パチンコ屋の店員に話しかけてみたり(ちょっとウザがられる)、隣の部屋に住む中国人に話しかけてみたり、居酒屋の店員と友達になってみたり。

訳ありの理容師さんとの交流も、なんだかほっこり。世之介らしい。

 

吉田修一著「続横道世之介」表紙
吉田修一「続横道世之介」扉頁の題字

 

そんな中、一人で3歳の息子を育てている桜子と出会います。

美人でヤンキー気質の桜子。

2人は仲を深めていき、彼女の実家の自動車整備の手伝いをするようになります。亮太に対する優しい視線も、世之介らしい。

 

桜子の兄・隼人も昔はワルだったようですが、家業を手伝う青年に。悪友との関係性、泣ける。人情味があるワルですね。

 

バイト先で、社長から「うちで社員として働かないか」と声をかけてもらえるまでになっていた世之介。

しかし、しかし。

世の中、そううまくはいかないわけで…。

にしても、この顛末は頭にくるなー。

 

前作と同様、世之介以外の視点で現在(27年後)の描写が入ります。

3歳だった亮太は、2020年には30歳。

その活躍ぶりといったら!

 

居酒屋店員だった浜ちゃん→鮨職人を目指して鮨屋に就職した、その後の様子だったり。コモロンの、2020年の様子だったり。コモロンと隼人の行動力、見習いたい。度胸ありすぎ。

なんだかんだ、20代って夢があるな。

 

まとめ

24歳の世之介も、眩しかった。

1993年4月~翌年の3月までの物語です。

その中に、2020年が垣間見えます。世は東京オリンピック。

 

世之介がオリンピックを見ることが出来ていたなら、どんな感想を持っていたかな。

続編は、泣ける箇所がちょいちょいありました。いい話だった。

 

TBSラジオリスナーとしては、世之介が整備工場で働いているときに「大沢悠里のゆうゆうワイド」を聞いているという設定が、とても嬉しくもあり。悠里さん、今も元気です。