三浦しをん「のっけから失礼します」について
三浦しをん著「のっけから失礼します」は、2019年8月に集英社から発売されたエッセイ集。
全303ページ。
初出は、BAILAの2014年6月号~2019年5月号。
BAILAは私も何度か読んだことがあります。
いわゆるファッション雑誌ですね。
働く女性向けの、なんとも上品なオサレ雑誌でして。
オフィスに通うでもない生活を送るわたしなんかが読んでもいいものか!?
と気おくれしてしまうくらいなのですが、最近はカバーモデルの方を拝見すると「そもそも年代がずれてきたのではなかろうか」と思い始めている次第です。
そんなわけで、ときたま読んでいたエッセイの連載が一冊の本になって発売されたというので手に取りました。
三浦さんといえば素晴らしい小説をたくさん書かれていますが、エッセイもいいですよ。笑えます。
未読の方は読んでみてください。
三浦しをん エッセイ集「のっけから失礼します」の感想
エッセイ集「のっけから失礼します」は、一章から四章までの構成です。
その他にもまえがき、あとがき、巻末おまけ書き下ろし、と盛りだくさんの内容となっております。
それぞれの章の終わりには「章末書き下ろし」があったり、エッセイの後日談が追記されているものもあったりと、丁寧に仕上げられた一冊なのだろうというのが伝わってきました。
特に印象に残ったのは、巻末おまけ書き下ろしの「もふもふパンダ紀行」。
和歌山県にあるアドベンチャーワールドでのパンダ談が読めます。
安住氏のラジオ「日曜天国」で度々話題になるパンダ!
その中でも、モテモテパンダ・永明(えいめい)について詳しく知ることが出来、とても満足。
三浦さんはオタク気質のようで、とことん!なんですよね。
突き詰めていらっしゃる。
私が知らない分野が題材になっているものでも、そういう世界もあるのね、ふむふむ。と、飽きずに読ませてくれます。文章の巧みさゆえ、ですな~。
一章で触れられていた「人に道を聞かれるか否か」の考察には、膝を打ちました。
私は超絶せっかちで早歩きだから、隙がないのかなあ?
道を聞かれたことが、ほとんどないんですよね。
風呂に入らぬ理由には、ぷぷぷ!
某大学の研究室でのエピソードは、去年読んだ「愛なき世界」の取材中のものかな?
この作品に登場する「シロイヌナズナ」に関しての、裏話的な話を知ることが出来ました。
それと、三浦さんのご家族の話が大変にユニーク。
古墳に萌えるお父さま、自由なふるまいがお茶目なお母さま、筋トレに励みつつ甘いものが好きだという弟さん。
最後の方にある、キウイフルーツのくだりには参りました。
おとうさーん!そんなところにキウイ吊るさないで!!笑。
他人の親だと「なんと可愛らしい!」と思えるのに、自分の親となるとそうは思えないのは何故だろう。気付くと、つい口調がキツクなってしまうんだなー。
ごめんよ、母さん。
最後に
三浦さんのエッセイ、本作も面白かった!
ニヤニヤしながら読みました。
日常の中のささいなとっかかりから紡ぎ出されるエッセイは、「あんなにすごい作家さんでも、普段は普通の暮らしをしているんだな~」などと妙な親近感が芽生えます。
以前読んだ三浦しをんさんの作品のレビュー記事を貼っておくので、ご参考までに。
ドラマ化されて話題になったのは、↓こちらの作品。
三浦しをん「あの家に暮らす四人の女」のあらすじと感想 - まつりパンライフ
これは、ドラマも原作も良かったなあ。